来る4月13日、韓国では国会議員選挙が行われる。任期の半分が過ぎた朴槿恵(パク・クネ)大統領と与党に対する「中間評価」ともいえる今回の選挙。議席の過半数を確保している与党「セヌリ党」に対し、韓国最大野党「共に民主党」は前共同代表の安哲秀(アンチョルス)氏が離党する形で分裂するなど混乱している。選挙当日までに大きな異変でもない限り与党の優勢は続くと予想されている。与党の優勢といっても、それが与党の健闘ではなく、野党の不振によるものであるという点は今の日本の様子と似てるかもしれない。
ところで、選挙戦が盛り上がっていく中、既存の政党、政治家たちとは異なる選挙風景が今韓国で話題を呼んでいる。それは「庶民コスプレ」と「慰安婦」という戦略である。
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自ら「貧乏人」を名乗る候補者たち
「庶民コスプレ」とひんしゅくも
まず「庶民コスプレ」とは、自分がどれだけ貧乏人かをアピールする候補者たちの姿を皮肉る言葉だ。だが、これは日本と同じく貧困、経済格差が社会問題になっている韓国の現状の反映でもある。「庶民コスプレ」の先鋒となったのが左翼系の民衆連合党である。
民衆連合党は、2014年12月韓国憲法裁判所の審判により「親北」「民主的基本秩序に反する」政党と判断され、強制解散させられた統合進歩党の事実上の後身政党だ。実際、民衆連合党の候補者の60%以上が以前統合進歩党に所属していた人たちだ。
民衆連合党の候補者たちの多くは選挙公約として貧困、格差問題の解決を挙げているが、貧困層の支持を得るため、自分たちも「貧困層出身」であることを強くアピールしている。自ら就職浪人、フリーター、契約社員、溶接工、農民であるとした上で、自分たちだからこそ貧困層の悩みと辛さを理解できると声高に叫んでいる。