2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年4月6日

 しかし、ネット上では彼らが「庶民コスプレ」(実際は貧困層ではないのに貧乏人のふりをすること)ではないかという批判が起きている。例えば、ソウル東大門区に出馬した尹美娟(ユン・ミヨン、25歳・女性)候補である。尹候補は自らを「就職浪人2年目の『土のさじ(土で作ったさじ)』」と紹介している。

 韓国では富裕層を指す隠語として「銀のさじ」(富裕層生まれを意味する英語の慣用句 'born with a silver spoon in one's mouth 銀のさじを口にくわえて生まれる' から由来)という言葉が使われることがあるが、これに対して近年貧困層を指す「プラスチックのさじ」「土のさじ」などの新造語が次々と誕生し流行語になっている。尹候補がいう「土のさじ」 とはここからきた言葉だ。

本当の貧困層なら学費ローンが残ってるのが普通

 問題とされたのは彼女の財産申告内容だ。韓国の立候補者は財産、納税額、前科の記録を公開するよう法律で定められている。それによると25歳の就職浪人という彼女には8900万ウォン(約860万円)という金融資産が存在。その資産形成の経緯も不透明であったのだ。

 すると本当の「土のさじ」たちの怒りが爆発した。「本当の貧困層なら学費ローンが残ってるのが普通だろう」「8900万の資産がある25歳が『土のさじ』なら、私も土のさじになりたい」と彼女に対する批判が殺到したのだ。
騒ぎを収めるために彼女はSNSに弁明のメッセージを載せたが、それがまた火に油を注ぐ結果となった。

 彼女は自分は富裕層ではなく「公示地価2億ウォンくらいの庶民用マンションに両親と暮らしている」と説明したが、なぜ実際の取引価格ではなく、公示地価と表現したかという指摘が浮上したのだ。実際、韓国ソウルで公示地価2億ウォンなら、取引価格はその2倍の4億ウォンを上回るのが普通だ。彼女はそれをわざと安く見せるため「公示地価」と表現し、「庶民コスプレ」をしたのではないか、と彼女のSNSは瞬く間に炎上してしまったのだ。


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