選挙の素材として登場した「慰安婦」
今回の選挙におけるもう一つの特徴は、「慰安婦」を選挙に用いる候補者、政党が現れたという点だ。慰安婦を支持したり、支援する活動が「絶対善」とされる韓国で、今度は慰安婦が政治的な「手段」として利用されているのだ。
民衆連合党の鄭守娟(ジョン・スヨン、27歳・女性)候補は選挙用の広報資料に「慰安婦少女像を守るため(日本大使館前で)63日も泊まり込みで抗議活動を続けた」と自分の経歴を紹介している。
この候補にとって最も輝かしい経歴は少女像の前で布団をひいて野宿したことなのだ。日本のマスコミにも紹介された大使館前の野宿は本当に銅像を守るためだったのか、それとも選挙用経歴作りのためだったのか。
さらには「日帝・慰安婦・人権政党」という露骨な名前の政党も登場した。アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会など約20余り団体に所属する強制動員被害者とその遺族で構成されたこの政党は、3月3日ソウル日本大使館前で新党結成を宣言し、活動を始めた。
同政党は強制動員被害者のための補償法と福祉支援政策の制定を目標とし比例代表1人を出馬させている。候補者は古くから太平洋戦争犠牲者遺族会の幹部として活動してきた人物だ。同会は慰安婦関連報道で物議を醸した元朝日新聞記者植村隆氏の義母が会長を務めた団体でもある。