2024年12月22日(日)

Bangkok駐在便り

2016年6月3日

 タイの物価や人件費の高騰が日本のメディアにも報道されるようになり、現在の成長ぶりが広く拡散している昨今。もちろん高騰しているのは、それらだけではない。物価や人件費が高騰すれば、他に影響が出てくるのは当然のこと。タイは観光地やリタイア後の移住先としても人気が高いため、高騰化は不動産にも影響を与えている。

ハイソなレストランや欧米人が多く住むプルンチット駅周辺。まさに高級住宅街

 日本人居住区として有名なスクンビットエリアだけではなく、スクンビットエリア近郊、そして都内北部、チャオプラヤー川を超えたエリア(日本人はほとんど住まないエリア)といった場所にも高騰化が波及。背景には投機目的もあるが、人口の都市部集中の色合いが濃く、いよいよバンコクにもかつての日本が経験してきたバブルの様相を呈している。資産運用として購入するなら、もはやギリギリの段階に迫っているのは間違いないが、すでに手遅れと指摘する専門業者もいる。バンコクの南北の交通を支えるBTS(高架鉄道)は、かつて東急が成功させた田園都市線さながらのイメージといっても過言ではない。

 バンコク中心部の土地高騰化の大きな理由は、なんといっても都市部の成長が第一に挙げられるだろう。GDP成長率は年3%弱で堅実に上がり続け、帝国データバンクが発表した数字によれば、タイへの日本企業進出数は4月末時点でASEAN最多の4788社。タイ投資委員会(BOI)はあらゆる施策を施し、外資優遇政策を推し進めながら、海外の投資を呼び込むことで経済を発展させてきた。同時に日本人を含めた外国人も増加し、スクンビットエリアやシーロムエリアを中心にコンドミニアムがどんどん建てられ、自ずと地価も高騰していった。

 主な日本人のコンドミニアム購入者は、40代半ばから60代手前が多く、不労所得だけで生活ができる富裕層であり、ほとんどに共通するのが「タイ好き」であること。単に投機目的であれば、フィリピンやベトナムよりももはやポテンシャルが低いとされるタイにおいて、それでも購入する背景には「タイが好き」というフックが一つの購買理由となっている。そして、タイを好む理由としては、ご存知の通り、タイ人女性であり、ゴルフ天国という環境、温暖な気候などといったことが挙げられる。ちなみにスクンビットエリアで2LDKほどのコンドミニアムを購入する場合、最低でも700万バーツ(2100万円)はかかるとされており、それなりに余裕がなければ所有することは不可能だろう。


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