ウェッジ・インフィニティ読者のみなさま、はじめまして。アートディレクターの佐藤可士和のクリエイティブスタジオ「SAMURAI(サムライ)」のマネージャーをしております、佐藤悦子と申します。
これから毎週全12回にわたり、連載コラムをつづらせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
私をはじめ佐藤可士和や「SAMURAI」についてご存じない方もたくさんいらっしゃると思います。まず初回は、「SAMURAI」の仕事をいくつかご紹介させていただきながら、私自身のお仕事についても触れたいと思います。
クリエイティブスタジオ・SAMURAI
「SAMURAI」では、現在、ユニクロや楽天、NTTドコモやキリンビール、グローブライド(旧ダイワ精工)、国立新美術館、明治学院大学などたくさんのクライアントとプロジェクトをご一緒させていただいています。電通や博報堂など広告代理店経由のお仕事も約3割ほどありますが、今ではクライアントと直接のブランディングプロジェクトが大部分を占めています。佐藤自身も2000年まで11年間博報堂勤務でしたので、最初は広告キャンペーンを多く手掛けておりましたが、現在では、企業やブランド全体のクリエイティブディレクションや、シンボルマーク、ロゴタイプのデザインを含むブランド開発やリニューアル、プロダクトやパッケージのデザイン、店舗開発などの仕事がほとんどです。多くの場合、その企業のコミュニケーション戦略の根本から携わっておりますので、数ヶ月単位の一キャンペーンでのお付き合いというより、3年、5年と中長期的なビジョンをクライアントの皆様と共に作らせていただくような仕事の仕方になっています。
たとえばユニクロでは、2006年11月にニューヨークにオープンしたグローバルフラッグシップショップの1号店「UNIQLO SOHO NY.」を皮切りに、「UT」「UJ」のブランド開発、ロンドン、パリのグローバル旗艦店、「+J」「ユニクロシューズ」の立ち上げなど、ユニクロのグローバルブランド戦略のクリエイティブプロデュースを、NTTドコモでは、究極に無駄をそぎ落としたシンプルな潔いデザインで100万台を超えるヒットとなった「N702iD」をはじめ、その後継機種「N703iD」や「キッズケータイ」「スポーツケータイN-07A」など、現在まで5機種の携帯端末のデザインを担当する他、「ドコモあんしんミッション」や「docomo Creative Kids」などの企業活動にも携わっております。
またキリンビールでは親子の絆シリーズの企業広告を、日本で5番目の独立行政法人国立美術館となる六本木の「国立新美術館」ではシンボルマークとサイン計画を、立川の「ふじようちえん」では、園舎のリニューアルを通して、幼児教育の新しいあり方にひとつの可能性を提示することを試みています。