したたか者の流儀

2016年6月26日

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 では、なぜあの、ジャポニカ・カフジ油田が消えてしまったのだろうか。日本的な生真面目さや、陰謀が原因なのだろうか。2000年前後に、油田の租借権がきれるのでアラビア石油側も鋭意、交渉をしていた。間接的ではあるが、皇室外交や首相外交、豪腕の元通産次官を社長にいただき、万全を期していたが、不首尾であった。

 先方は、権益は更新するが鉄道を建設してほしいといって来たのだ。側聞するに、いいよといえば、すんだのかもしれない。まじめなジャポニカは、砂漠に鉄道を引けば、砂嵐で埋もれてしまい脱線する。従ってすべて地下にするか、屋根をつけるかなども含めて議論したようだ。

様変わりしたカフジ油田

 ハナから約束だけして、なかなか建設しない選択肢はなかったのだろう。悠久の時が流れて、議論を楽しむ先方と、ステップがちがっていたのだ。別の協力でどうにかならないかなどと議論すればするほど、鉄道に固執して当方の苦悩を楽しむ嫌いもあるのだ。先方も、日本に残ってほしかったといわれている。チキンゲームのどツボにはまってしまい時間切れで召し上げとなったのは、ごらんの通りだ。

 日本の需要を日々10%もまかなえるカフジ油田が、現在どうなっているか見れば、陰謀説の方も解明できる。現在は、サウジアラムコの事業所となっているのだ。当時、秋田大学の鉱山学部や帝国石油の流れをくむ人たちなどが、日本の炭鉱住宅的設えの長屋に住んで、摂氏50度にもなる環境下で働いていた。

 最近は模様替えされ、米国西海岸のパサデナのような住宅地となり、女性がタックトップで歩いているそうだ。すなわち、日の丸原油は消えて嘉手納基地周辺の米軍住宅ように衣替えしたのだ。その、サウジアラムコが今回株式を公開する。史上最大のIPO(株式公開)で、地球最大の企業となるはずだ。トヨタ自動車の10倍の規模になるかもしれない。

 原油価格の低迷や、軍事費用などの増大で、福祉などの維持が難しくなってきたのが原因であろう。日本国内にカフジの代わりはないのか。欧州に行ってパリから高速で数分、東に向かうと、道路沿いに油田の掘削機を見ることができる。東京で言えば江戸川区あたりだ。パリは地下には油田層があるのだ。

 東京は無理か。血の一滴だろう。

  
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