World Energy Watch

2016年6月30日

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どうなる英国の原子力政策

 英国民の間では原子力発電に関する支持が比較的高い。東日本大震災後に主要国で行われた原子力発電に関するアンケート調査によると、英国では「新設まで行うべき」が37%、「直ちに閉鎖」が15%だ。日本では「新設」が7%、「閉鎖」が27%だった。図-2が詳細な結果を示している。英国で原子力発電を支持する人が多い理由の一つは、温暖化、気候変動問題を懸念する人の比率が多いためと言われている。

 英国政府はCO2を排出せず発電コストが安定化する原子力発電所の導入を進めるために、フランスと中国企業の合弁事業体が建設するヒンクレーポイントC原発が発電する電力を固定価格で35年間買い取ることを決め欧州委員会の承認を得ている。電力市場が自由化されているために将来の電気料金を見通すことができないなかでは、収益が不透明になり巨額の投資が必要な発電設備への投資が簡単には行われないために、政府が発電された電気を買い取ることで投資を促進する政策だ。

 ヒンクレーポイントCに続き、東芝・ウエスティングハウスと日立が関与する企業体がそれぞれ原子力発電所の新設を行う予定だ。今後、仮に温暖化懐疑論を支持する政権ができれば、原子力発電の利用を進める英国政府の政策にも影響が生じる可能性がある。無論エネルギー安全保障の問題を後継政権がどう考えるかもキーになる。EU離脱によりEUのエネルギー同盟を離れることから、脆弱になる英国のエネルギー安全保障の面からは原子力の強化が必要になる可能性もある。

 さらに、EUのエネルギー政策から英国が自由になることにより、思い切った原子力発電支援政策の導入も可能になった。今後の政権次第では、さらに支援に踏み切ることもありえる。この場合日本企業にはチャンスが増えることになる。

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