でも、これも簡単なこと。平日手伝える時間がないなら週末教えたらいい、平日も、親である自分の予定を、子どもと共有しておけばいい。「今週は水曜と金曜の帰りが遅いの。いつも水曜には算数の宿題が出るから、難しくて解けないと思うものは付箋を貼って置いておきなさい。8時に帰ってくるから」とかね。本人がひとりでも活動できるように、準備しておけばいいわけですよね。横にずっといなくても本人ができるように、やってあげるのではなく、やり方を教えてあげるんです。
――プロセスを大切にするということですね。ご著書の中に、「子どもから何か聞かれたときに正解を言わなくていい」とあって、面白いと思いました。
小川:自分自身子育てしていて、周りの話を聞いていると、正解がわからないから黙っておこうとか、「わからないから聞かないで」と子どもに言う大人が結構いることに驚きました。それって裏返して言うと、わからないことは良くないこと、恥ずかしいことって言っているわけです。そうではなくて、「わからない」には価値があると思える子が伸びるんです。今まで触れてなかったことに今日触れることができるチャンス、世界が広がるチャンスだと思える子です。だから大人が「わからないね」「一緒に調べようね」ってやっていくことに意味があります。もし仕事で疲れていて一緒に調べる気力がなかったら、「代わりに調べてね」と頼んだらいいんです。うちでは5~6歳の段階で子どもによく頼みごとをしていました。
――どんなことですか?
小川:なんでもですねえ。「これ知ってる?」って聞かれたら「いや知らんわぁ。ちょっと調べて教えてぇや」って。うちの子は電車がすきなので、乗換案内とか全部子どもに任せています。休日に出かける場所について「ここまでの行き方調べといてな」とかね。行き方を教えるのではなく、行き方を調べる方法とか、わからなかったら駅員さんに聞けばわかるっていうことを教えたいんですよね。
知らないことはインターネットで探せない
――辞書・地図・図鑑があるといいとはいえ、現代は全部インターネットですむと考える大人もいるように思います。わざわざ重たい辞書を買わなくてもなあとか、本当に効果あるのかなあ……と。
小川:本当に調べようと思ったら、インターネットって意外に使えないことに気付くと思いますよ。言葉の使われ方を調べようと思っても辞書からの引用で、内容が薄くてぺらぺら。