毎月のように、新しい子育て本、教育本が書店に並ぶ。教育熱心な親、子育てに悩む親がそれだけ多いということなのだろう。教育に関してはさまざまな考え方があり、どのような考え方を選ぶかは各家庭の裁量だ。ただ、一つの考え方に固執するよりも、他種多様な手段・方法・考え方を知って選択肢を持っておきたい。正解はないが、結果はあるのが子育て。あなたは親としてどう子どもと向き合いたいだろうか。この連載では、教育関連本を出版した著者の方たちにインタビューしていく。
あなたが子どもの頃、家のリビングはどんな様子だっただろうか。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)は、そのタイトルの通り、リビングに「三種の神器」を置くことを奨励する教育本だ。インターネット全盛の今、分厚い辞書や図鑑を買いそろえる家は減りつつあるかもしれない。しかし著者である小川大介氏は、これこそが子どもの好奇心を伸ばす仕掛けだと書く。その理由とは?
子ども時代の能力の8割は自信
――図鑑や辞書のある場所がリビングというのがポイントですね。
小川:子どもと親は別人格なので、親は子どもをしっかり観察し、興味関心が何に向かうかに気がついてあげることが必要です。でも、子ども部屋に押し込めたら観察できませんね。家族がそれぞれ普通に出入りして、情報が集まる場所がリビングです。子どもが「今これを知りたいな」って興味が芽生えたときに、すぐに聞いたり調べたり次の行動に移すこと。それを習慣化することが知育ではとても大事で、それができるのがリビングだと考えています。
――子どもの本は子ども部屋、という家が多そうで……。
小川:子ども部屋をつくるのが悪いということではなくて、集中したいときは子ども部屋でいいけれど、ホームグラウンドとしてはリビング。子どもを勉強する状態に導くことは難しいって思っている人はすごく多いですが、本当は簡単なことなんですよ。
――そうなんですか?
小川:そうです。辞書や図鑑の存在を教えて、使えるように導いていくだけで勉強を覚える。スポーツや芸術は結構生まれ持った才能の制約があると思いますけれど、勉強は誰でもできるようになります。まだ2歳くらいでも、子どもが「昨日あれ見たよ。面白かった」って言って興味を持ったら一緒に調べてみる。これも勉強なんです。