2024年12月22日(日)

したたか者の流儀

2016年7月14日

 今回、英国のEU離脱から、欧州でにわかに注目されているのがジブラルタルだ。日本で言えば犬吠埼だけが米国の領土だと想像してみよう。とても奇妙だ。このジブラルタルは「山」という意味でアラビア語由来である。イベリア半島がイスラムに支配されていた頃、要衝の地であった岩山のことだ。スペインのものであったが、英国が奪取したままとなっている。スペインから水道電気が来ていると聞いたが、テンションが高まると心配だ。

 亡くなったダイアナとチャールズの新婚旅行のスタートはジブラルタルであったのは、英国のものだと言う示威行動だろう。平地がないので道路をまたいで滑走路ができている。定期便の中型旅客機はロンドンから飛んでいるが、離着陸の時は道路に遮断機が降りるスタイルだ。2キロ半四方の土地で英国の属領だが英国がEUのメンバーであればスペインも寛大な対応をしているが、今後はどうなることか。スペインの中にイギリスがあるのだから。

ルクセンブルク(iStock)

陸のジブラルタル

 ところで陸のジブラルタルをご存じだろうか。欧州の人は、ルクセンブルグを陸のジブラルタルと呼ぶことがある。天然の要塞という意味だろう。本来EUは、ベネルクス三国と独、仏、伊ではじめたものだ。その中で一番小さな国がルクセンブルグだ。大公が治める国で大公国が正式名称となる。

 日本人にはあまり知られていないが、知れば知るほど面白い国だ。一国としてEUのフルメンバーシップを持っている。さらにシェンゲンという言葉を知っているだろうか。ジャポニカの新聞でも少し出ている。書き手はたぶんシェンゲン村に行ったことがないのであろう。ルクセンブルグにある小さな村だ。

 欧州のメディアでは、この話で持ちきりだ。この村の名を知らないヨーロッパ人はいない。断言できる。日本人は知らない。知らないのにEU問題を論じるひとがいるが、鼻白むと言わざるを得ない。この村で調印されたシェンゲン条約のお陰で一旦域内に入ったならば、パスポート不要でどこでも好きに行ける。


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