2024年7月16日(火)

教育の原点を考える

2016年6月19日

 激しく変わりゆく社会を子供や若者がたくましく生き抜いていく力を育てるということは、いつの時代にあっても大切な課題です。

 ところが、精神的・体力的にも弱く、不登校やひきこもり、いじめといった問題を抱えて苦しむ子供や若者が増え、そのことで多くの親・家族も翻弄され、本当の姿を見失っている姿が目立つようになっています。

 80年以上もの歴史を持つ寄宿生活塾「はじめ塾」は、様々な子ども達が”したたかに”かつ”しなやかに”生きる力を身につける場となり、親達にとっても生き方をみつめ直し自分らしさを取り戻す場になっています。

はじめ塾の夏期合宿で元小学校教諭の白木沢節子さん(中央右から3番目)を囲む子ども達

 このはじめ塾において子ども達は多様な講師達から学ぶ貴重な機会を得ています。「彼等の学びに対する態度」、「彼等に対する講師の期待」などを読み取って頂くために一部の講師の方々のメッセージを掲載いたします。幅広い国際色豊かなメッセージ集とすべく、ドイツ人、米国人および中国人の講師の方々にもメッセージをお願いしました。

『はじめ塾で学ぶ子ども達との嬉しい出会い』
元小学校教諭 白木沢節子

 私が講話のために初めてはじめ塾主催の夏期合宿を訪れたのは、平成25年8月上旬。日本列島は酷暑に喘いでいる真最中でした。九十九曲がりの急な坂道を、心地よい涼風と蝉の大合唱に迎えられながら登っていくと、そこには一軒の古民家がありました。それが市間寮でした。

 そこには、80年も前、私が子どもだった頃、岩手の山村で友達と思い切り遊んだ日々を思い起こさせる情景がありました。そして、そこで初めて出会った子ども達の目は、皆澄み切って明るく、元気に満ち溢れていました。彼らは、ひと夏を過ごすために日本各地から集まった、下は小学校1年生から上は高校3年生までの子ども達でした。

 年長、年少を問わず、そこにはお互いを思いやる温かい心が溢れていました。また、特別のルールがあるわけではないのに、子ども達が、今その場で自分が何をしなければならないのか、ということを自ら判断して行動する力を見せてくれました。それはすなわち、自分が自立して生きていく為に、また、仲間と共に生きて行く為に、必要な「素」に違いありません。その力を身に付けて行く「場」、それがはじめ塾にあったと私は感じたのです。

 生き生きと目を輝かせて質問してくれた小学生。食卓で年少の子ども達を気遣い、優しく世話をしていた年長の子ども達。あの素晴らしい彼らを思い出し、何度でも会いに行きたいと思っています。


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