村の寄り合いであれば、相身互いでおもてなしも良かろう。おもてなしと言いながら、驚くようなボロ設備で一儲けしようというホテル業も、ビジネスなので良しとしよう。心やさしき我らは、今回のような卑劣なテロがあると、外人に対してどう接してよいやらわからなくなる。
バラエティー番組ばかりではなく、偏りのない国営放送でも、イスラムは悪、アラブは恐いというトーンがあり、刷り込みを受けてしまいそうだ。既にかなり受けていると思っていい。ちょび髭アラブ風のイスラム教徒にはおもてなしをしないのか。犠牲になった方には、心から哀悼の意を表しつつも、賢明な日本国民としてぶれないスタンスがとれないものであろうか。
握手は武器がないことを示すこと
そもそも、握手というのは手の中に武器がないことをしめすものであり、敬礼も同様な意図がある。無防備でおもてなしと騒ぐジャポニカは、ナイーブ過ぎるのだ。日本でエレベーターに乗っても挨拶をしない人が多いが、欧米は違う。みんな挨拶する。勿論礼儀もあるが怪しい人ではないかというチェックでもある。礼儀正しいと感動してはいけない。声をかけて挙動を調べているのだ。
この間までおもてなしで大騒ぎしていた我らは、今後はどうしたものだろうと思案することだろう。そこで、日本人はイスラムに関して、あまりにも無知から来る短絡が多いので一言。
我らの生活のなかに、数々のアラビア語由来の言葉がある。言い換えれば、一時世界の文明をリードしていた人種・言語であり地域であるからだ。
たとえば代数学を勉強していたが暑いのでシャーベットを食べ、砂糖を入れて珈琲を飲んだ、疲れて酒を飲んでパジャマに着替えて寝たとしよう。無理して外国語にすると、アルジェブラ(代数学)、ソルベ(フランス語でシャーベット、高級レストランでは日本でも言う)シュガー(スッカル)、カフェ、アルコール、パジャマとなるが、すべてアラビア語由来だ。
アラーアクバル、ビンラーデン、オンマアリ、アブダビ、ジブラルタルなど日本でも聞いたことがある言葉を解説すれば、アラーは神、アクバルは偉大、ビンは子、オンマは母、アブは父、ジブ(ジャベール)は山となる。
アラブ世界に赴任すると、IBMと言う言葉をならう。コンピューターとは関係なく、Iインシャラー(神のみぞ知る)Bはボッコラ(明日)Mはマレーシュ(どうにかなる)とアドラー心理学のような呪文だ。今ジャポニカの間で流行のアドラー心理学を勉強する必要のない人々かもしれない。
先に出た言葉に加えて、我々でも理解できるアラビア語を列挙するとゼロ、アルゴリズム、タリフ、リスク、アベレージ、トタン、ラケット、シロップ、アルカリ、ソーダ、チェス、チェック、ソファー、モンスーン、ジャケット、コットン、サフラン、キャメル、アドミラル、カラット、ガーゼ、カンフル、ギプスなどなどだ。