今回、香港、上海、台北で面接した青年たちが日本に求めるものが、画一化してきている。異口同音に漫画、アニメ、ゲームという言葉が飛び出る。平和国家としての戦略が功を奏したともいえるが、それだけではさみしい。世界がボーダーレスとなっていて、ネット社会になった結果、日本は遊園地、漫画の国という判断がなされているのだろう。封建社会を壊し、欧米列強に立ち向かった国としてその空気に触れようとやってきた偉人がいた時代は終わってしまった。
銭ドブ政策
誤解を恐れずに敢えて一言いえば、1980年代、日本の成功を学ぶために欧州から日本企業への研修生が継続的に送り込まれた。貿易黒字批判に対して理解をしてもらうための政策でもあった。典型的スタイルは初日、社費で盛大な歓迎会とカラオケ、翌日からはOJTという名の野放し放し飼いで半年後に帰国するころは、過半が日本嫌いになっていた。極端な場合には、日本企業は何か隠していると思いながら帰国した研修生も多い。バブル崩壊後は研修も少なくなったが帰国後、日本の成功神話が終わったことで、自分たちの認識が正しかったと考えていることだろう。国家戦略の欠落で悲しい無駄をしてしまった。そして、参加者のリストも同窓会もないようだ。銭ドブ政策だ。
民間レベルでは知れている。国家的に手を打つ必要を感じる。東京にも各国別に立派で安価な語学学校と文化センターがある。外国の都市にもある。一方、立派な日本文化センターのある都市も数か所あるがそれ以外はノーマークだ。
ブリュッセルのアリアンス・フランセーズにも長く通ったが、ドゴールの写真がある教員室とぼろ教室だけの粗末なものであった。しかし、世界中同じカリキュラムで安価でフランス語が学べる仕組みができている。日本はそのようなものは提供していない。その一方で、都市によっては雨後の筍のように、私設日本語学校が開設されている。そこでの一コマ。
① あたかも
②うって変わった
③どんより
を使って文章を作ってください。
ある日本語生は答えて曰く、
① 冷蔵庫に牛乳があたかもしれない。
② 兄は麻薬を打って変わった。
③ 私はどん(丼)よりそばが好きだ。
たくましい日本語学生だが、将来孫文や周恩来になるとは思わない。
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