2024年12月22日(日)

したたか者の流儀

2016年7月26日

 やれ女性だ、男性だと言うこだわりは流行らないかもしれない。差別に敏感になりすぎて、マンホールやマンデーをパーソンホールや、パーソンデーにすべきだという笑点のようなジョークがあるぐらいだ。

 今回の騒動でキャメロンが辞任して、後任の首相は女性となった。世界は驚いているようだが、その必要はない。最高権力者が女性であることで、何か問題があるのであろうか。ご近所でも、韓国に続いて台湾の総統にも女性が就任した。蒋介石が存命であればなんというだろうか。

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英米独のトップが女性となる可能性

 少し心配があるがヒラリーが大統領になれば、英米独のトップが女性となる可能性も出てきた。フランスも何かの弾みでルペン女史が大統領になってしまえば、世界の政治家風景はがらりと変わるだろう。際物だったルペン父以上の人気で、口は達者で安定感もある。女性版トランプだ。

 フランスの場合は、シラクのあとに現在の大統領のオランドの事実婚の妻が本選挙でサルコジを破る可能性は十分あった。直接話したことがあるが、美形で気が強い。ENAという最高位の官僚養成学校を出ているが、大統領選のとき、フランスに原子力潜水艦があるのを知らなかったのが敗因かもしれない。原発の比率も27%と答えてしまった。100%でもまかなえるほどの原発大国がフランスだ。別れた夫が臥薪嘗胆、雪辱をはたした。ここに来て次回選挙にむけ女性候補ルペンを押す有権者が増えて来たようだ。

 元祖鉄の女マーガレット・サッチャーのタイミングはよかった。肥大した英国病を憂いて小さな政府をめざし軍事費を削減したところ、アルゼンチンの沖合にある英国領土フォークランドの手薄になった守備隊が、アルゼンチン軍に襲われて占領されてしまった。サッチャーは、ダウニング街10番地に閣僚を集めて対応を協議したが、煮え切らない。男たちを前に、“どうやらこの部屋にいる男は私だけね。” とのたまったそうだ。アルゼンチン軍からフランス製ミサイルのエクゾセを撃ち込まれて沈んだ軍艦もあったが、フォークランドは無事奪還、風前の灯火であったサッチャー政権の人気は沸騰した。その後、民営化推進や労働運動対策で小さな政府への舵切りに成功した。80年代を通じてのレーガン、中曽根とともに三羽ガラスとして世界をリードした。ほんの坊やだった後の困った首相キャメロンを育てたのはサッチャーであるが。

 既に退任後であるがサッチャーが参加した講演会でのこと。国連の事務総長をやったオーストリア人で元首相のワルトハイムが前座としスピーチをしてフロアーにいたが、壇上からサッチャーは狂気の目でワルトハイムめがけて大変な剣幕で叱責した。ワルトハイムがヒトラー・ユーゲントの隊員であったことが明らかになったことを受けての非難であった。そんな厳しい女性であるが、息子のマーク・サッチャーには甘かったようだ。キャメロンにたいしても。

 いろいろな癖があったようだが、一つには靴を脱いでソファに座り込むこと。何かの数字を閣僚や官僚が当てずっぽうで言って当たると子供のように喜んだそうだ。逆に彼女の嫌いなものは、ホテルのメーセージランプだそうで、来日したときは帝国ホテルのお部屋の装置は作動禁止となったようだ。なくて七癖か。


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