――今回の展覧会にはガラス絵「日本の名刹」も展示されています。ガラス絵の魅力をひとことお聞かせください。
木田氏:僕がガラス絵を描きたいと思ったのは、独特の煌めきに惹かれたからです。25年ぐらい前のことです。ガラス絵自体は昔からあるけれど、土産品や絵描きの手遊びの域を出ていなかった。色がきれいでも絵がよくないとどうしようもない。だから僕は、ガラス絵を美術の一分野にまで高めようという気持ちで制作した。あらゆる絵の具、道具を使って実験したり、ガラス絵は普通小品が多いのですが、大きいのを描いてやろうと思い、1m以上の作品を何点か描いたりしました。ガラス絵の魅力は、封じ込められた絵の具の色と、その上に密着したガラスの「煌めき」が相まって見える美しさだと思います。
――ガラス絵の煌めく質感や透明感は実物を見ないとわからないので、ぜひ展覧会場へ足を運んでいただきたいですね。 本日はどうもありがとうございました。
【版画家・木田安彦氏 プロフィール】
1944年京都市生まれ。京都教育大学特修美術科構成専攻卒業後、京都市立芸術大学美術専攻科(現大学院)デザイン専攻修了。博報堂制作部に勤務。1975年に京都に戻った後、版画家として作家活動に専念しつつガラス絵、板絵、水墨、油彩、陶、書と多彩に領域を広げている。
毎日商業デザイン賞、クリオ賞(米)、サロン・ドートンヌ、ル・サロン、サロン・ド・ナショナル・デ・ボザール(仏)、ラハティ国際ポスタービエンナー レ、世界ポスタートリエンナーレトヤマに入選。日経広告賞部門賞、日本雑誌広告賞金賞、SDA優秀賞、CSデザイン賞シルバークラウン賞、国際カレンダー 展(独)銀・銅賞、全国カレンダー展通商産業大臣賞・文部科学大臣奨励賞他16度受賞、ニューヨークADC賞(米)銀賞・優秀賞、第17回京都美術文化賞、平成17年度京都府文化賞功労賞を受賞した。
ニューヨーク、オランダなど海外でも個展を開き、大英博物館には木版画が16点収蔵されている。
木田安彦の世界 木版画「西国三十三所」ガラス絵「日本の名刹」
東京都港区・パナソニック電工 汐留ミュージアム(山手線新橋駅下車)
〈問〉03(5777)8600
http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/