2024年12月23日(月)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年1月28日

 すると、そのボールをめがけて「我先に」と突進していく子どもたち。そして相手からボールを奪い取ろうとする。もちろん、最初はケンカに近い状態が生まれることになる。再び学級通信を見てみよう。

1回目なだけに対決中はさまざまな姿があります。ボールを取りに行こうと相手チームの大空くんに体当たりをした寛太くん。ボールを持っていた大空くんはその拍子に転び、ボールが転がっていってしまいました。
――すると……
大空 「なんでぶつかってくるんだよっ! 痛いじゃないか!!」 バシッ!!
寛太 「なんで叩くんだよ!」 バシッ!!
とボールのないところで叩き合いに。
なので一旦対決を止めて、「ラグビーはケンカじゃないよ。ぶつかったりしながら相手からボールを取っていくのがラグビーなんだよ」と話し、再開したのでした。
鳥1組 学級通信 「おおばこ」より

 激しいタックル(?)にボールを落とし、その悔しさから別の戦いが始まってしまったとき、先生は試合を止めて「これはゲームであって、ゲームとはこういうもの」ということを教えていく。そして別のところでは、また別の戦いが勃発する。

まだまだ子どもたちは仲間にパスをするなど協力するプレーではなく、ボールを持ったら1人でゴールを目指すため、あっという間に相手に取り囲まれて、ボールの所に全員が群がってしまい“だんご状態”です。
そのだんごの中から、異様な声が聞こえてきました。
「睦ちゃん! 痛いってば! 私は仲間だから踏まないで!」
“……? 痛い? 踏む……?”
よーく見てみると、ボールを持っていた睦ちゃん、「あっち行け! あっち行け!」と言いながら自分のまわりにある足すべてを踏ん付けていたのです。
一方では、だんご状態の中には自分から入れないけれども“どうにかしなきゃ”と思った和希くんは、ボールに手を伸ばす子全員のお尻をパシパシ叩き……、「痛いなぁ! 叩くのダメ!」と相手が怒って振り返ったときに、「今のうちだ! 行け、睦ちゃん!」と――。
子どもたちは、子どもたちなりにいろいろ考えているんだろうなぁと笑いをこらえつつも、「踏んだり叩いたりするのはなしね」と共有のルールにしたのでした。
対決していく中で実際に起きた問題点を取り上げながら取り組んでいこうと思っています。
鳥1組 学級通信 「おおばこ」より

 このような過程を経て、「体を張ったボールの奪い合い」が少しずつゲームとしてのラグビーに近づいていく。この時点ではまだ仲間と協力して戦うという意識はなく、仲間同士でボールの奪い合いになることもしばしばだ。だが、先生たちは後に子どもたちが声を掛け合ったり、パスを回したりする姿を思い浮かべながら、「どのように指導していけばいいのか」に意識を集中してこの様子を見守る。

 すると翌日、

 「先生! 今日もラグビーやるよね!」

 「いい作戦考えてきた!」

 と朝からやる気満々の子どもたち。その日の戦いぶりを再び学級通信から見てみよう。


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