まずは赤対黄グループ。(注:32人のクラスを8人ずつ赤・黄・青・緑の4チームに分けて試合は行われる)
「よぉーい、始め!!」
ボールを投げると1人端の方へ走っていく子が……。未桜ちゃんです。仲間たちがだんご状態になっても助けに行かず、声だけの参加です。「ほらっ! 力を入れて!」「朋紀くん、ボーッとしないの!!」――と。
内心、“なんで未桜ちゃんはボールの所へ行かないんだろう……”と不思議に思っていたのですが、とりあえず様子を見ようとその対決中は何も言いませんでした。
事実、5対6の対決になるので結果は黄色グループの勝ち。整列をしてからほかの仲間の元へ戻るとき、未桜ちゃんの肩が震え「負けて悔しい」と涙声。
そこで、対決中から気になっていた未桜ちゃんの動きについて聞いてみると、「あのね、作戦だったの。とりあえず5人が戦って、疲れたりしたら未桜と交代するって。でもね、いつ疲れたのかわからなかったからさ……。この作戦、今度はちゃんと言葉にして言うようにしてもう1回やってみる!」(あらあら・・・)。
すでに気持ちを切り替えて、次の対決に向かう赤グループの子どもたちでした。
鳥1組 学級通信 「おおばこ」より
体をぶつけ合う楽しさを感覚的に感じ取った子どもたちは、今度は「仲間と力を合わせて、どうやったら勝てるのか」ということに意識が移っていく。すると、このエピソードにあるように「軍師」となってチームを勝利させようと考える子どもも出てくる。誰に教わったわけでもないのだろうが、子どもは子どもなりに戦略を練る。
そして、年中児クラスになって「仲間と一緒に行動することとはどういうことか」をさまざまなカリキュラムを通じて学んできた子どもたちは、自分の思いは言葉にして伝えるべきだと考え、それを自然と行動に移していく。ラグビーを通じて、成長の階段をまた一つ登っていることが伝わってくるようだ。
さて、子どもたちはこの後、どのようにして勝利を目指して戦っていくのか。この「白熱の試合」の模様は次回詳細にお伝えしていこう。
※次回の更新は、2月4日(木)を予定しております。
風の谷幼稚園
園長・天野優子氏が、理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、1998年に神奈川県川崎市麻生区に開園。「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。
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