8月23日から24日、日中韓外相会談が東京で開かれ、中国の王毅外相が就任以来初めて日本を訪問した。23日の晩、王外相は日本の岸田文雄外相主催の歓迎晩餐会に出席。翌日にはメインの三カ国外相会談に参加したほか、旧知の自民党の二階俊博幹事長と会い、岸田外相との日中外相会談にも応じた。最後には、韓国外相と共に安倍晋三首相への表敬訪問も行った。
急に変化した対日姿勢
このようにして、王外相は短い日程の中で精力的な対日外交を展開したことがよく分かるが、さらに注目されるのは、一連の会談において王外相の示した、意外とも言えるほどの柔軟な対日姿勢である。
たとえば、岸田外相との会談後、王外相は「小さい問題が残っているが、日本側も(中国側と)同様に前向きな意志があれば、われわれはすぐに合意できる」と述べ、海洋での不測の事態回避に向けた「海空連絡メカニズム」に関して、高級事務レベル協議を開いた上で早期にスタートできるとの認識を示した。
今まで、日本側が同メカニズムの早期運用を強く要求してきたが、中国は難色を示してきた。しかし今回、王外相は一転して合意への意欲を示し、「双方の努力で海上摩擦をコントロールする」と前向きな姿勢を見せた。
同時に、王外相は日中首脳会談の早期開催にも積極的な姿勢を見せた。中国側が想定しているのは、一つは年内開催予定の日中韓首脳会談であり、もう一つは、9月4日から中国杭州で始まる20カ国・地域(G20)首脳会合に合せての日中首脳会談である。
実際、東京での日中外相会談の翌日、北京では中国外交担当トップの楊潔篪国務委員(副首相級)が日本の国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎国家安全保障局長と会談し、まさにG20に合わせた安倍首相と習近平国家主席の首脳会談の開催に向けて調整したとみられる。当日、中国の李克強首相までが「数段格下」の谷内氏と会ったことからも、中国政府の「対日重視姿勢」がことさらに示された。G20に合わせた日中首脳会談の開催はほぼ確定事項となっている模様だ。