前向きに読み解く経済の裏側

2016年9月5日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

今後の日本経済は少子高齢化による労働力不足で労働が効率化する

 たしかに、日本にも問題はあります。たとえば無駄な残業(急ぐ仕事が終わっても、上司が帰るまでは残業して不急不要の仕事をする)、といった悪弊は、消えて行くことが望ましいでしょう。それによって日本人の労働生産性は上がって行くでしょう。そして、今後日本が少子高齢化で労働力不足の時代を迎えると、そうなっていくのです。

 今までは、失業者が多かったため、「無駄な残業をさせる会社は嫌だ」と思っても、「今の会社を辞めても雇ってくれる会社が無いから、仕方なく今の会社で無駄な残業をしている」という人も多いでしょう。しかし、労働力不足の時代になれば、「無駄な残業は不要」という会社が出来るでしょうし、そうした会社に労働力が移動していくので、それ以外の会社側も「無駄な残業は不要」と言わざるを得ず、日本中の企業から無駄な残業が消えるでしょう。

 過当競争も、日本人の労働時間を長くしていました。たとえば各銀行は、貸出競争のために、貸出担当者を借り手企業に日参させているかも知れません。しかし、借り手が借りる額は資金需要(工場建設計画等々)によって決まっており、その借入需要を銀行が奪い合っているに過ぎないので、銀行員たちの残業は日本人の生活水準の改善には役立っていないわけです。

 これを反対から見れば、各銀行が一斉に借り手への日参を止めたとしても、借り手がどこかの銀行に借りに行くだけですから、日本人の生活レベルは落ちません。銀行員たちの残業が減ったけれども日本国民の生活水準は落ちなかった、ということが期待されるのです。

 今までは安い労働力が自由に手に入ったので、各銀行が過当競争を行なう余裕がありましたが、今後は労働力不足ですから、過当競争を繰り広げる余裕がありません。自行だけが借り手訪問をやめれば顧客を失いますが、ライバル銀行も含めて全行が借り手訪問を止めれば、自行の客は減りませんから、すべての銀行の状況が改善するかも知れません。

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