広がる人脈の輪
次に、働き方についてもそうだ。中小企業診断士は、「企業内診断士」として働くか、「独立開業」として働くかを選ぶことができる資格である。もちろん社内でのキャリアアップにも有効だ。中小企業であれば、「中小企業診断士=会社経営」と上層部が考え、重要ポジションへの昇格などは十分にありえる。また大企業の場合でも、出世競争の中で他者に一歩差をつける大きな資格となる。
ここでとりあげたいのは「独立開業」して働いた場合だ。40代50代となれば、取引先であれ、飲み仲間であれ、強いパイプとコネクションを持っている。自分を知ってくれている人がこの世に多いほど、仕事につながるチャンスは必然的に多くなる。これらの人脈はビジネスをする上でも強味となり、「この人にお願いしよう」と依頼につながるチャンスになる。またお互い社交辞令から入るのではなく、初めから相手の本質が知れるということは双方にとって有利だ。これもまた若年層が得たくても得られない代物ではないだろうか。もし20代、30代で中小企業診断士を取得した場合、その努力が認められてもそれが直接仕事につながることは少ないだろう(もちろん得た知識が大きな糧となるのは確かだ)。
中小企業診断士の現状
上記のように、中小企業診断士の資格価値をうまく表現できるのは中高年だと私は感じている。もちろん、中小企業診断士の中にも年収数千万の人もいれば全くその価値を活かせていない人がいるのも事実だ。しかし結局のところその差は、この資格の「活かし方」を知っているかどうかから生まれてきているように感じる。
現在、中小企業診断士試験はストレート合格約4%という難関試験に位置付けられており、もちろん合格にあたってはそれなりの勉強時間が求められる。しかし上記に述べた事柄からも合格後にこの資格を有効に最も活用できるのは40~50代だと私は確信している。是非多くの方に、今まで培った知識を活かし日本社会を活性化させていただきたい。
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