AIはシンギュラリティの夢を見るか?

2016年10月13日

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 前回のコラムで紹介したアマゾンのEchoやグーグルのHomeのようなデバイス(『グーグルが狙うスマホの次のプラットフォーム』)も、ハンズフリーでビューフリーのコンピューティングを可能にする。しかし、それらは主に家の中で、それぞれAlexaとAssistantという、ジャービスのようなパーソナルアシスタントと対話するためのものだ。AirPodsは、どこにいても(ロケーションフリーで)ふと思いついたことをSiriに訊ねることができる。この「常時オン」という新しい体験が、次の大きな変化を予感させる。

Siriの現在と課題

 Siriの実体はクラウドのコンピュータで稼働する音声認識と自然言語処理を行うソフトウェアだ。ユーザーの音声による指示を認識して、その内容を理解し、それをiPhoneにインストールされているアプリの中から、該当するものを探して指示の内容を伝える。「Hey, Siri. 何ができるの?」と聞くと、対応するアプリのアイコンと、どのように話しかければ良いかの例が表示される。

 Siriで指示を与えることができるアプリは、アップル製のもの以外ではFacebookとTwitterだけだったが、最新のiOS10で、SiriKitという開発者がSiriを利用するための環境が提供された。「VoIP電話」「メッセージ」「写真」「Apple Pay」「ワークアウト」「乗車券の予約」「CarPlay」「レストランの予約」という8つのカテゴリの、対応する3rdパーティーのアプリにSiriで指示することができるようになる。

 カテゴリーごとにSiriで指示できる機能が決められていて、例えば「メッセージ」では「メッセージを送る」「メッセージを探す」「メッセージの属性を設定する」の3つの機能があり、それぞれに必要なパラメータが規定されている。それを満たすためにSiriは、例に示したような形式に従って指示することをユーザーに求める。現時点では、Siriがユーザーを理解してくれるのではなく、ユーザーがSiriを理解して使いこなす必要がある。

 Siriは(まだ)複数のアプリケーションにまたがる指示を実行することはできない。また、ひとつの質問に答えると、その質問と答えを忘れてしまうので、対話をするように次の質問を続けることもできない。「東京駅近くのレストランを探して」「15件見つかりました」「そのうちの和食は?」そう尋ねると、東京駅近くという条件を忘れてしまう。Siriが覚えておいてくれるのは、妻と娘の名前ぐらいだ。

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