AIはシンギュラリティの夢を見るか?

2016年10月13日

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スマートフォンが不要になる?

 グーグルのAssistantは、家の中に置かれるHomeにも組み込まれている。スマートフォンのようにディスプレイを備えていないこともあって、PixelのAssistantとは機能が少し異なっている。質問にも音声だけで答えようと努力しているようだ。テレビに接続したChromecastや、スマートデバイスと呼ばれるAssistantに対応した家電を、音声でコントロールするハブとしての役割がHomeの特徴だろう。

 Homeの説明では、しきりにハンズフリーであることをアピールしていたが、Pixelのデモでは手に持って、ピザを食べるときのようにマイク部分に口を近づけてAssistantに話しかけていた。AirPodsのようなイヤホンにeSIM(モバイル通信)を組み込み、スマートフォンなしに(ハンズフリーで)パーソナルアシスタントと対話できるようにすることも難しくないだろう。

 人前で「Hey, Siri」や「OK, Google」などと、スマートフォンに話しかけることを恥ずかしいと思う人は多い。まだ、パーソナルアシスタントができることは少なく、音声認識の正確性や言葉の理解力も不足している。ヘッドホンをつけて歩く若者の姿が奇異の目で見られた1980年頃のウォークマンもそうであったように、パーソナルアシスタントとの対話は、今のところイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる人達の大好物でしかない。彼らはAssistantと対話するために、iPhoneを捨ててPixelに乗り換えるかもしれない。いろいろなサービスやモノがパーソナルアシスタントで利用できるようになり、正確性や理解度がある閾値を超えたときには、きっと多くの人々はその恥ずかしさを忘れてコンピュータと音声で対話する価値を選択することになる。

 科学技術によって人間の能力が根底から覆り変容するという、レイ・カーツワイルが描いたシンギュラリティが訪れた後の世界では、人間の脳はコンピュータと直結し、もはやインターフェースは不要になる。しかし、それまでのしばらくの間は、音声による対話が、人とコンピュータとの最良のインターフェースになる可能性は十分にある。

  
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