AIファーストへシフトしたグーグル
10月4日に開催された「Made by Google」というイベントで、グーグルは独自に開発したスマートフォンなどの6種類のハードウェアを発表した。イベントの冒頭でCEOのサンダー・ピチャイは、コンピューティングの世界では10年ごとに大きな変化が起こっていると語った。1980年代にパソコンが一般の人々に広がり始め、1990年代半ばにはWebによって世界中の人々が繋がり、そして2000年代半ばに起きたモバイル革命が人々の暮らしを大きく変化させた。その変化は今も続いていて、モバイルファーストからAIファースト(AIを起点にサービスや製品を考えること)に向かっている。発表したハードウェア群は、グーグルがAIファーストへシフトしたことを具体的に示したものだと言う。Assistantは、その戦略の中心にある。
18年の間に獲得した膨大な情報から機械学習をすることによって、グーグルのAIは700億ものコトとそれらの関係性を理解し、自然言語処理、機械翻訳、画像認識そして音声認識の精度を飛躍的に向上させた。新しいスマートフォンPixelに組み込まれるAssistantは、これまでiPhoneにもアプリとして提供されてきたGoogle Nowの新しいバージョンのようにも見える。しかしGoogle Nowは、ユーザーを認識してユーザーのスケジュールやメールなどの情報にアクセスして質問に答えたり指示を実行したりできるが、ユーザーを理解することはできなかった。
「グーグルのゴールは、世界の人々にインディビジュアル(一人一人の)グーグル、パーソナル(専用の)グーグルを提供することだ」と、ピチャイが言ったように、Assistantは利用を続けるうちに学習し、ユーザーを理解して自然と賢くなることを目指している。自然言語処理の精度が向上したことによって、(英語でのデモだったが)ユーザーとの対話も非常に滑らかで自然になり、Google Nowのような、いかにも機械が話しているような感じはなかった。アップルのSiriができない、シームレスに質問を積み重ねる双方向性のある対話もできる。