1991年とは様変わり
一方、カープの緒方孝市監督も、このシリーズでは積極的に〝情報公開〟に踏み切っている。シリーズ前の18日、かねてから来季の去就が注目されていた黒田博樹の引退発表をあえて承諾。「ラスト登板の可能性もあるシリーズでの先発は地元・広島での第2戦ではないか」との憶測も広がる中、「それだけは先に言っておく。黒田は第3戦。チームが勝つための判断です」と明言した。初めてのシリーズに臨むに当たって、重要な勝負手のひとつを自ら堂々と明かしているところに、この青年監督ならではの気概を感じる。
振り返れば、25年前の1991年、山本浩二監督時代のカープが森祇晶監督率いる西武に挑んだ日本シリーズは、いまのような明るさや爽やかさのカケラもなかった。シリーズ前から、森監督とカープの正捕手・達川光男が火花を散らす舌戦を展開。勝負手も先発投手も徹底的に隠して、虚々実々の情報戦や陽動作戦を繰り広げていたものだ。それはそれで面白かったけれど、時代は変わりましたね。
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