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2016年11月9日

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 また、現代の交通事故のおよそ2割は運転者による不注意、たとえば運転中に携帯電話を見る、などが原因とされるが、ダッシュボードにカメラを設置し、ドライバーの注意がそれているかどうかを判断するプログラムでは96%の確率で不注意運転を指摘できる。これは自動運転システムにもつながる技術だが、もしかすると近い将来この「不注意運転防止」カメラを実際に搭載した車が発売になるかもしれない。

 自動運転においてAI、特にマシン・ラーニングは欠かせない要素でもある。米国でのリサーチ会社の予測によると、自動運転は2025年には420億ドル規模の産業となり、10万人の雇用を生み出す。

 一方で英・オックスフォード大学によると、今後20年間でマシン・ラーニングは現在の雇用のおよそ半分に置き換わる存在になる可能性がある、という。機械に職を奪われた失業者があふれる未来も視野に入っている。

マシン・ラーニングの弱点

 では、マシン・ラーニングには弱点はないのか。もちろん限界は存在する。例えばマシン・ラーニングは、データがなければそもそも無意味なものとなる。データ収集、さらにはそのデータを正確に分析できるデータ・サイエンティストが必要だが、その数は現時点では絶対的に不足している。またデータをラベリングする作業も現時点では非常にコストがかかる。つまり「人間の手」を必要とする部分はまだ多く、すべてが一気にマシン・ラーニングに移行する可能性は低い。

 さらに、現在最も「パフォーマンスが優れる」とされるマシン・ラーニングのモデルにはブラックボックス、つまり企業秘密の部分が多く、追随する企業が真似をしようとしても同様のパフォーマンスが得られない。そのため導入をためらう企業も多い、という問題点も指摘された。

 しかしヤフー、グーグル、フェイスブック、ネットフリックスなどマシン・ラーニングを取り入れてある程度の成功を納める企業は増えており、今後5−10年でこうした技術の「でもクラティゼーション」(一般化)が進む可能性は高い。また、AIやマシン・ラーニングをオープンソースで進める動きもあるが、これらの大企業がオープンソースへのフィードバックを行うこともマシン・ラーニングの未来のためには必要だ、とレーセク氏は強調する。

 大企業だけではなく中小企業もマシン・ラーニングの恩恵を受け、作業の効率化と正確性を高めることができる、というのが最良の未来ではあるが、その実現にはまだ時間がかかる。今後5−10年の発展が重要な要素となりそうだ。

  
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