ドイツの自動車メーカー、BMWは今年創業100周年となる。それを記念した「NEXT100」と銘打ったイベントを北京、ロンドン、ロサンゼルスで開催したのだが、その内容とはタイトルの通り、これまでの100年を振り返りつつ、これからの100年を見通した乗り物へのBMWなりの答えを示すものだった。
BMWは1916年、航空機のエンジンを製作するメーカーとして誕生。その後1923年にはバイク、そして27年から車を生産し始めた。現在はBMWモータード(バイク)、BMW、ミニ、ロールスロイスという4つのブランドを持つ総合メーカーだ。
NEXT100のユニークな点は「オートショーなどと違い、BMW傘下の全てのブランドを一堂に集め、メーカーとしての姿勢を示す」という点。今回のイベントでは4つのブランドそれぞれが考える「未来の乗り物」を形にし、「ネクストビジョン」として紹介した。
まずはモータード。BMWのバイクは車よりも歴史が古く、アメリカでは白バイにBMWを採用している自治体警察も多い。それだけ技術に安定性があり人気も高いブランドだが、ネクストビジョンはバイクという乗り物のコンセプトそのものを変革する大胆なデザインを披露した。
写真からも明らかに、このバイクはカーボンフィアバーフレームを使ったモノボディとなっている。しかもボディフレームは「フレックス・フレーム」と呼ばれ、かなりの柔軟性を持つ。カーブを曲がる際にフレームがしなることで、よりスムーズで安全なコーナリングを可能にするという。しかも驚くべきことに、このバイクは「セルフ・バランス」を取ることができる。ボディが傾き転倒の恐れがある場合、バイクのボディそのものが反発して姿勢を立て直すため、走行中の転倒を防ぐことができる。
三角が全体に穿かれたタイヤ
このバイクのデモビデオでは、ライダーはヘルメットを装着していない。代わりにゴーグルとボディスーツを着用しているが、ビデオの中でライダーはステップに足をかけて立ち上がり、バイクが自らバランスを取って直立を保つ様子が紹介された。ゴーグルはバイクに装着されていないミラーの代わりも果たす。一時グーグルが開発していたグーグル・グラスのように、ゴーグル上にはバックミラーなど周囲を見渡す機能の他、速度などの計器類も表示される。さらにボディスーツにはライダーの心拍数、体調などをモニターする機能もあるという。バイク、ゴーグル、スーツの3つによって「転倒せず、ライダーの体調を常にモニターし、安全な走行ができる」乗り物が実現するという。
さらにこのバイクのもう一つの秘密は細かな三角が全体に穿かれたタイヤにある。このタイヤは「スマート・タイヤ」と呼ばれ、気温や路面の状態に応じてタイヤの硬さなどが変化する。溝の代わりの三角は、「雪道でもスパイクの代わりとなり安定した走行ができる」工夫なのだという。