検定試験の目的も、情報の非対象性の緩和
英語検定など、検定試験が数多く行なわれています。多くの学生が金を払って試験を受けていますが、その主目的は、就職試験の際に採用担当者に自分の英語能力をアピールするためです。
就職面接で、「自分は英語が得意です」と言っても、面接官が信じてくれなければ意味がありませんが、「私は英語検定1級です」と言えば(さらに言えば免状を持参すれば)、必ず信じてもらえるからです。
社債を発行する際にも、似たような制度があります。格付会社という所が、英語検定の実施機関と似たような役割を果たすのです。社債を発行しようとする企業は、格付会社に財務諸表等を見せて、返済能力をA、B、Cなどで評価してもらい、その格付を投資家に見せることで、「我が社は返済能力があります」ということがアピールできるわけです。
余談ですが、格付会社は、社債発行企業から料金を受け取り、格付という成績表を付けるわけですから、成績を甘く付けるインセンティブを持つかもしれません。しかし、心配いりません。それは、格付会社が評判を気にするからです。もしも良い成績を付けた企業が次々と倒産してしまったら、誰もその会社の格付を信用しなくなります。それでは誰も格付を依頼してくれませんから、商売になりません。ここでも再び、「一回限りではなく続けて商売をするから信用される」ということが起きているわけですね。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。