野の中にすがた豊けき一樹あり
風も月日も枝に抱きて
明治42(1909)年生まれの女性歌人、斎藤史〔ふみ〕が、88歳を迎える年に詠みました。
88年の間には、穏やかな日々ばかりではなかったはずです。逆風にさらされることもあったでしょう。それらをすべて受け止めて、いよいよ悠然とそびえる木。
老いてこそたどり着ける境地のあることを、明治から平成まで生きた女性と、万葉人と、ふたりの歌が、私に教えています。
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