2024年4月25日(木)

マネーの知識

2017年1月7日

日本での取り組みからも目が離せない

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人, 世界最大の年金)はそのESG運用の柱となるべく日本株ESG指数を今年7月に公募(9月30日必着で募集)した。リリースには「ESG要素を考慮した国内株式のパッシブ運用の実現可能性を探る事を目的に、ESGの効果により、中長期的にリスク低減効果や超過収益の獲得が期待される指数の公募を行う」(一部抜粋)とあるが、この実現は日本におけるESGの広まりだけでなく、大きな社会的意義を持つ可能性を秘めている。

 2016年6月末時点でのGPIFにおける国内株運用資産は約27兆円だが、パッシブ運用額は約22兆円(2016年3月末の81.5%で想定)であり、TOPIX型だけで約18兆円だ。2014年に新たなパッシブ運用指数として導入したJPX日経400型の(GPIFによる)運用は2兆円以下と思われるが、それでもROEへの注目を急激に高め、株式市場だけでなく社会も動かした。時期同じくしてROEというKPIを導入した企業もあるのでは。

 GPIFによる国内株式のパッシブ型ESG指数運用が始まれば様々な連鎖反応が想定される。経済活動の持続可能性に注目したESG投資が、株式市場での価格パフォーマンスや株主の要望を通じ、経営者にESGのKPI参入を促し、従業員がその基準で業務に取り組み、社会の「豊かさ」に対する基準がもっと「持続的な」ものへと変化する、とは妄想し過ぎだろうか。

 卵が先か、鶏か?ではあるが、こういったESG関連の新たな投資手法もデータ・コンテンツの拡充とともに可能になってくる。

  
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