前向きに読み解く経済の裏側

2017年1月9日

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米中貿易戦争の勃発

 トランプ氏は、支持基盤である米国の工場労働者の雇用を確保するため、中国からの輸入製品に関税を課するかもしれません。そうなれば、中国も報復関税を課するかもしれませんが、中国の被る打撃の方が圧倒的に大きそうです。

 そもそも米国の対中輸入は対中輸出の4倍もあること、米国の対中輸入品は国産品に置き換えることができる労働集約型製品である一方で、中国の対米輸入は国産品に置き換えることができない技術集約型製品であること、などがその理由です。

 米国に圧倒的なメリットがあるとわかれば、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏としては、対中輸入関税を課するインセンティブが充分にあることになります。これにより、中国経済が大打撃を被り、日本の対中輸出が激減してしまうリスクは、考えておく必要があるでしょう。しかし、過度な懸念は不要です。米国が中国から輸入していた物の多くは、他の途上国からの輸入に振り変わるでしょうから、そちらの途上国の経済が発展し、日本製品の輸出が増えることになるはずだからです。

 米中間の関税引き上げ合戦が行なわれるとすると、日本が漁父の利を得る可能性も大きいでしょう。米国が中国から輸入しているものは、労働集約的な財が多いでしょうから、日本からの輸出に振り変わるケースは少ないかもしれませんが、中国の対米輸入が激減した穴の一部を日本製品が埋めるケースは多そうです。日本製品と米国製品は、いずれも技術集約型製品で、代替候補になりやすいからです。

 そう考えると、米中の貿易戦争は、日本にとってリスクというよりチャンスかもしれません。もちろん、米国の全面的な保護主義による対日輸入関税といった話にまで発展しない、という前提ですが。

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