ネット炎上のかけらを拾いに

2017年1月17日

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モラル違反はもはや「ネタ」にならない

 松本もブログで「線路に出てはいけませんな」と書いている通り、それが危険な行為であり、人から注意される行為であることは認識しているだろう。

 とはいえ、彼女たちは中学生のようにホームから飛び降りたわけではない。線路を横切る踏切から1~2メートルほど立ち入っただけ。それもほんの一瞬だから大丈夫。ちょっとした洒落として許してもらえる。そんな意識があったのだろう。しかしネットユーザーたちは、こういった行為を決して許さない。その行為を行った人に、DQN、高学歴、有名企業勤務などの「オプション」がついていればなおさらだ。タレントももちろん例外ではない。好感度の高低に限らず、今や必ず炎上する。

 ところで、こういった行為への目が厳しくなっているのはインターネットだけのことではない。たとえば飲酒運転にしろ、未成年喫煙や飲酒にしろ、一昔前よりも誤魔化しがきかなくなっているのは確かだ。少なくとも1990年代まで、こういった行為は「いけないけれど、みんなやっていることだから」とお互いに目配せして不問に付すようなところがあった。しかし今や、その暗黙の了解は通じなくなっている。

 インターネット上ではさらに、監視の目が厳しい。リアルで知り合いからモラルに反する行為を聞いたとしたら聞き流す人でも、他人がネット上でそれを公言していれば「つけ込む隙にはつけ込もう」となる。だって、わざわざモラル違反を全世界に公開する方が悪いのだから、と。

 松本の炎上から考えさせられたのは、1990年代のノリがネット上でも通じると思っている層と、ネットの雰囲気の解離だ。つけ込む隙があればつけ込む、その雰囲気を知らない人(特に有名人)が特に指南も受けずブログをやるのはちょっと無理があるのではないか。松本の場合、写真を撮影した人や周囲の人が「これブログにアップしたら炎上ですよ(笑)」と誰も忠告しなかったのだろうか。

 ところで、15日に配信された記事の中に「林マヤが激しすぎる夫婦喧嘩を告白…肋骨2本骨折し夫は腕を12針縫う」(スポーツ報知)があった。内容は、林が夫から納豆の混ぜ方の回数について文句を言われたことに腹を立ててドロップキックし、夫が腕に12針縫うけが、着地に失敗した林も骨折したというものだった。

 筆者はこの件も炎上するだろうと感じたのだが、その様子は今のところない。記事には「下品」「こんな嫁嫌だ」というコメントが多いが、これが林から夫に対してのDV(ドメスティックバイオレンス)であり、傷害事件だという指摘はほとんど見られない。放送を見ていないが、ニュース記事にある林のコメントを読む限り、これはDVであり、テレビで笑いながらネタにされるような話ではないと感じる。炎上に至っていないのは、林がそこまで注目度の高いタレントではないことに加え、ブログやTwitterをやっていないことがあるだろう。また、女性から男性へのDVに気付かない人が多い現状があるからではないか。家庭内暴力は「品」の話ではない。

  
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