どのようなスタイルをとるのか
トランプ次期米大統領はどのようなスタイルで就任演説に臨むのでしょうか。2017年1月9日、トランプ氏はツイッターでレーガン夫妻と握手をしている写真を投稿しました。同氏はドナルド・レーガン元大統領を尊敬しています。就任演説では、レーガン大統領のような「強いリーダー」を演出する可能性が高いと言えます。
それに加えて、米メディアはトランプ氏がジョン・F・ケネディ元大統領のスタイルを取り入れるのではないかと報じています。1961年のケネディ元大統領の就任演説のように、国民の士気を高める演説を行うと言うのです。同大統領は、演説であの有名な「米国があなたに何をしてくれるのではなく、私たちが一緒になって人類の自由のために何ができるのかを問うてください」というメッセージを送信したのです。言語に加えて、演説中に見せた同大統領のジェスチャーや声のトーンといった非言語も米国民を鼓舞したのです。
トランプ氏は演説の中で強調するフレーズを述べる際、必ず声のスピードを落とします。同氏がどのような非言語コミュニケーションスタイルを活用して、メッセージを発信するのかも見所の一つです。
どのような内容になるのか
ショーン・スパイサー次期報道官は、就任演説は「結束に呼びかけるものになるだろう」と語りました。米政治メディア「ポリティコ」とモーニング・コンサルトの共同世論調査(2016年12月28-29日実施)によりますと、登録した有権者の49%が就任演説でトランプ氏が米国社会における分断の修復について語ることが非常に重要であると回答しています。続いて、48%が製造業の維持、47%が海外から米国内に雇用を取り戻す政策に関して同氏が演説をすることを期待しています。
さらに、36%が医療保険制度改革(通称オバマケア)、34%が最高裁判事指名についてトランプ氏が就任演説で述べることが非常に重要であると指摘しています。他方、選挙中注目を浴びた米国とメキシコに建設する壁及びイスラム教徒の一時的米国入国禁止に対する有権者の期待は高くありません。同氏は演説で、製造業と雇用創出、医療保険制度改革並びに最高裁判事指名について語ることはほぼ間違いないでしょう。
演説における内政と外交の時間配分にも注目です。上の世論調査の結果をみますと、かなり国内問題に国民の関心があると言えます。従って、トランプ氏は内政により多くの時間を費やすことになるかもしれません。
就任前のトランプ氏の言動では、日本は同盟国というよりも、むしろ国内の雇用創出のための取引先という位置づけになっています。率直に言えば、日本はトランプ氏の内政の延長線上に乗っている訳です。演説のどの場面で日本について言及をするのかにも目が離せません。