海野素央の Love Trumps Hate

2017年1月18日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

主たるメッセージの受信者は誰か、核となるメッセージは何か

 もちろん、トランプ氏は米国民及び世界にメッセージを発信します。ただ、効果的な演説を行うには送信者はメッセージの受信者の重要度によって分類を行います。メッセージの受信者の優先順位を明らかにしておくのです。最も重要度の高いグループを1、低いグループを3とします。

 例えば、トランプ氏の場合、同氏を第45代米大統領への道を開いてくれた白人の労働者階級及び退役軍人は第1グループに所属します。第2グループは中高年の白人女性、第3グループはヒスパニック系、アフリカ系、若者及び同性愛者が入ります。同氏は、大統領選挙における勝利演説及びビデオメッセージでもそうでしたが、白人の労働者階級並びに退役軍人を強く意識して雇用創出について語ります。というのは、トランプ氏はどの大統領よりも雇用創出をした偉大な大統領としてレガシー(政治的遺産)を残したいからです。就任演説でも特に彼らに焦点を当てたメッセージを放つとみてよいでしょう。

2009年オバマ就任演説との類似点と相違点は何か

 バラク・オバマ米大統領及びトランプ次期米大統領は、共に選挙期間「変革」を掲げて勝利を収めました。そこで、両氏の演説の類似点と相違点に焦点を当ててみるのもよいでしょう。

 オバマ氏は、09年の就任演説で希望、結束、平等、人種、民族及び宗教における文化的多様性の重要性を強調しました。前述しましたが、トランプ氏は就任演説で結束を呼びかけます。この点においてはオバマ氏の演説と類似するかもしれません。ただ、トランプ氏が平等、人権、文化的多様性並びに寛容さについて述べるのかは不透明です。

 以上、トランプ就任演説の見所について述べました。もう一点挙げるとすれば、選挙中トランプ支持者の合言葉となった「米国を再び偉大な国に取り戻す」で演説を締めくくるのか、それとも選挙モードを切り換えて次の4年間に向けて新たなスローガンを打ち出すのかです。

  
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