議論の発端を知る人は少ない
この記事で書きたいことは、コンビニがおむつを売るべきか否かではない。また、エロ本を排除するべきかどうかでもない。ツイッターの議論でありがちな「第三者の誤解」とろくでもなさについて書きたい。
ハッシュタグがだいぶ拡散されてからこれに気付いた人の中には、「コンビニでおむつを売れという主張はわかるけれど、なんでエロ本を売るなと言うのか」という疑問を持った人が少なくないようだ。2つの異なるトピックを強引に結び付けたようにみえるこのハッシュタグを見て、いつものごとく「フェミニストのヒステリー」と嘲笑した人もいた。
この2つのトピックが結びついた原因はいくつかあるだろう。ただ、筆者が観測していた範囲内では、もともとは屁理屈へのカウンターだった。
コンビニで成人向けの雑誌が置かれていることを批判していたユーザーに対して、一部のユーザーが「それならおむつや生理用品を売るのも禁止だ」と絡んだのだ。エロ本規制について、こういう絡み方をする輩は、よく観察してみると一定数いる。コンビニで成人向け雑誌が置かれることに何の違和感も覚えない人でも、この「(男性向けの)エロ本を置くのがダメなら(主に女性が購入する)おむつや生理用品もダメ」という反論のタチの悪さはわかるだろう。端的に言って童貞臭がする。童貞臭という言葉が品が悪いなら、ワオ!性的嗜好品と生理用品を同じと思えるなんて天才的に愉快な発想だね!と言えばいいだろうか。
こういうやり取りを見るたびに筆者はツイッターが嫌いになる。理不尽な絡み方をされた人がその怒りや憤り、呆れを表現すると、その人が何をされたのかの部分を見ずに、その表現だけが抜き出されて揶揄されるからだ。そして本題がずれ、「フェミニストは怒る女」もしくは「女(と、その味方をする男)は感情的」というイメージだけが残される。
ツイッターは極端な意見が集積する場所だ。ジェンダー問題について、相手をいかに不快にさせるかだけに腐心するユーザーもいる。彼らが目指すのは生産的な議論ではなく、相手を貶めることだ。アンチフェミニストたちはこうやって極端にバカげたコメントでフェミニストを怒らせるが、その手法はある意味成功しているのだろう。フェミニストたちが怒り、反論を行うほど、外野は「またフェミニストが怒っている」とだけ感じるからだ。なぜ怒っているかまで観察している丁寧なユーザーは、そう多くはない。
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