臨時任用職員は育休の権利なし
さらに、地方公務員にも臨時・非常勤職員が増加しているが、地方公務員の育児休業法によってそもそも育児休業が対象外の働き方が存在する。6カ月の契約期間となる「臨時任用職員」には、もともと育休の権利がない。しかし、実態としては契約更新を何回も繰り返して、若いうちから10年も働き続けているケースもある。臨時任用職員が出産しても、産後休業の8週で職場復帰を余儀なくされているのが実態だ。
地方公務員の一般職非常勤などについて育休を取得できる範囲は条例で定めるよう求められている。総務省の「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」(2016年12月)で提出された資料によれば、例えば「一般職非常勤職員」を雇い入れている都道府県・指定都市・市区町村777団体のうち、育児休業を導入する「条例の改正済み」は469団体、「検討中」が16団体あるものの、「予定なし」が292団体にも上る。こうした取り決めが、まさに冒頭の良子さんの例に当たる。
0歳児で子どもを保育所に預けなければ働くことのできない女性がいかに多いかが分かるが、ここが見逃されている。雇用形態や自営業であるかなどの要件そのものを取り払い、希望する全員が育児休業を取得できるようにするのか、0歳児の定員を増やすのか。育休が取れない根本原因を解決するように、企業が法令遵守する仕組みを拡充するのか。非正規そのものを大幅に減らすのか。そこが解決しない限り待機児童は減らないだろう。
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