2024年7月23日(火)

したたか者の流儀

2017年4月26日

 サウジアラビア国王訪日は歴史的には二度目で、46年ほど前に国王として始めて日本を訪れたのが、名君の誉れの高い第三代ファイサル国王であった。

 在任中は世界中でテレビ放送が始まった時期でもあったが、偶像崇拝を禁じる戒律の厳しいイスラム教ではテレビはアウトとなる可能性があった。ファイサル国王はテレビ試験放送でコーランを流し続けて無事導入の運びとなった。実体験でいえばサウジアラビアの上流階級ではダイニングルームの一等席にテレビが鎮座していて日本の居酒屋のようにテレビがついている場合がほとんどだったが、今は知らない。

サウジアラビアの将来

 ファイサルは「剣」という意味となる。サウジ王家は時系列でいえば、「強い神の子」「剣」「平和」となり、日本の皇室に対して一方ならぬ敬意と親近感があるといわれているが、その背景をここに感じてしまう。

 ところで石油が戦略商品となって100年足らずだ。可採埋蔵量は毎年伸びているが有限であることは否定できない。サウジアラビアでよく聞いた小話は、「親父はラクダに乗っていたが俺はメルセデスだ。たぶん子供たちもメルセデスだろう。孫の時代はまたラクダに乗っているかもしれない」。

 サウジアラビアの人口は爆発している。原油の販売代金で一族郎党を養うことはすでに不可能になっている。そこで、産業を興さなければ「孫はラクダ」話が真実味を帯びてくることになる。

 夏は50度を超える地域だ。砂嵐があるので鉄道は引けない。有史以来、アラビア半島は緑豊かであったという説がある。一斉に樹木を切って燃料にしたので砂漠となったというのだ。学習効果なのか、サウジは原油採掘のフル操業はしていない。

 その間に、国内産業を作り、本当に平和な国を作ろうとしている。化石燃料の自給自足がみえた米国は中東に対する興味は薄れている。そこで、相互に補完的な日本の出番が期待されている。

 とはいえ補完はできても、浅くて狭いホルムズ海峡を8割の日本向けタンカーが通過するのを誰が警備するのだろうか。祈りとあきらめの神頼みなのか。それともドイツのように防衛予算をGDPの2%に引き上げて自主防衛するのか。

  
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