先発なのにリリーフ投手のような投球をしてしまう
「千賀の場合、WBCの東京ラウンドは先発で回され、アメリカでの決勝ラウンドではリリーフ待機を命じられている。その状態のままで日本のシーズンに入ったものだから、先発なのにリリーフ投手のような投球をしてしまったんです。初先発は4月4日の楽天戦で、相手投手が同じ侍ジャパンの則本だったこともあって力んだのか、5回もたずに7失点でKO。これはヤバイと、試合後に投手コーチとじっくり話し込んでましたよ。まあ、その甲斐あって、2試合目から本来の調子を取り戻しましたが」
そうした事態を尻目に、侍ジャパンを運営するNPBエンタープライズでは、2020年の東京オリンピックに向けて着々と準備を進めている。4月3日にNPBの理事会と12球団代表者による実行委員会が開かれ、NPBエンタープライズの新社長に、5月1日付で読売新聞東京本社スポーツ事業部長の山田隆氏が就任することが承認された。この会社自体、読売の肝煎りで創立されており、球界関係者の間ではいまからこんな憶測でしきりだ。
「事実上の仕切り役が読売である以上、次の侍ジャパンの監督には、巨人のカラーが強い人材を据えようとするだろう。理想としては松井秀喜氏だが、無理となったら原辰徳氏が担がれる可能性が高い。原氏は2009年の第2回WBCで優勝しているから、実績は申し分ない。原ジャパンが東京オリンピックで見事金メダルを獲得したら、読売グループにとっても計り知れないプラスとなる」
それはそれで結構なことだが、今年の〝元侍〟たちの体たらくを見ていると、20年の東京五輪がそのシーズンのプロ野球にどんな悪影響を与えるか、いまから気になってならない。開幕前の3月に行われたWBCと違い、オリンピックは夏の7〜8月。開催期間中はレギュラーシーズンを中断することがすでに決まっており、20年の侍たちは開幕前に五輪のための合宿を行い、いったんシーズンの公式戦に出場、真夏の東京で金メダル獲得のためにプレーし、そのあとでまたシーズン終盤の優勝争いに参加と、身も心もすり減らす戦いを強いられることになる。
そのとき、果たしてファンを沸かせるようなプレーができるのかどうか。今年だけではなく、3年後のオリンピックまで不安を引きずりそうな侍ジャパンである。
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