AIはシンギュラリティの夢を見るか?

2017年4月29日

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デザイン思考でジレンマを克服する

 イノベーションを引き起こした技術的な性格から、インクリメンタル(連続)とラディカル(不連続)とに分類するそれまでのイノベーション分類に対し、クレイトン・クリステンセンは既存の有力企業の事業の対応という視点から、そのイノベーションに対応して存続可能なものを持続的、対応が困難で存続が不可能なものを破壊的とする独自の軸を加えて、イノベーションを4つの象限に分類しました。そして、持続的イノベーションに最適化された組織では破壊的イノベーションを起こすことができず、そのジレンマに陥った組織の事業は、やがて他者によって起こされた破壊的イノベーションによって衰退してしまうと分析しています。

写真を拡大 クリステンセンのイノベーション分類(筆者作成)

 ビジネスイノベーション本部のミッションは、クリステンセンの分類のどの象限にあるのでしょうか。デザイン思考は、第2象限のラディカルな技術革新による持続的なイノベーションを可能にします。

 長い間、製品の企画や開発に携わってきた人たちは、その産業分野や市場に精通し、関連する技術についてもおおよそ把握しているでしょう。しかし、逆にいろいろなしがらみや先入観に邪魔をされて、目の前にある可能性に対して「できるはずがない」「馬鹿げている」などと思い込みがちです。デザイン思考によって、その思い込みを払拭し、それぞれの事業が提供している製品では満たされていない顧客の潜在ニーズを発見できれば、AIという革新的な技術を利用した画期的な製品を生み出すことができるはずです。

 ビジネスイノベーション本部が本社直轄になっていることで、既存の事業を破壊しかねないイノベーションに制限がかかったり、組織の壁が馬場氏の言葉のもう半分、「デザインシンキングをパナソニック全社に適用する」を実現する障害になったりしないかという懸念はありますが、デザイン思考によってイノベーションのジレンマを克服した成功事例となることを期待したいと思います。

  
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