米国には、五輪選手や有名人らによって提供された精子や卵子を高額で買い取り、子をデザインする「デザイナーベイビー」と呼ばれる治療さえある。
米コーネル大学の医局に勤務するグレン・シャットマン准教授は、この技術について、「子供ができない人が提供者を選ぶのは、パートナーを選ぶことと同じくらい大切なことだと思う」と語る。
いまや出産は、超高齢出産のみならず、理想の子をデザインすることさえできる。
不妊治療とは、夫婦やカップルの幸福を満たせばよいのか、それとも、生まれてくる子供の幸福を考えるべきなのか。スウェーデンのカロリンスカ研究所のケニー・ロドリゲス産婦人科医は、こう指摘する。
「不妊治療は、夫婦ではなく、子供にとってベストであるべきだという考えが原点になっているのです。これから生まれる子供が18歳になるまで、親としての役割を果たせるかどうか。その観点に従えば、(不妊治療を行う)母親だけでなく、父親の年齢も重要な要件になるのです」
日本でも、6組に1組の夫婦が、自然妊娠できないという。不妊治療で高齢出産は可能になったが、誰のための幸福かを考え直すことも重要なのかもしれない。
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