2024年7月18日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年7月21日

 趙教授はまず、これまでの30年間にわたる中国の経済成長は、実は「輸出の拡大」と「人口の優勢」と「不動産業の急速発展」という3つの「好運」によってもたらされたものであったとの認識を示している。しかし今、この3つの「好運」のいずれも効果の低減あるいは効力の喪失に直面しているという。

 「輸出の拡大」は結局、欧米諸国の経済繁栄の上に成り立つものであるが、アメリカ金融危機が発生して世界同時不況となってからは中国の輸出が激減した。今後、輸出はある程度回復できるかもしれないが、以前のような高度成長に戻ることはもはやない。中国はこのような「好運」に恵まれることはもう二度とないだろう、と趙教授は言うのである。

 今まで、「人口の優勢」も中国の高度成長を支えてきた大きな要因の1つである。労働力が安くて豊富だからこそ、中国は「世界の工場」となり得たのである。しかし今、中国はすでに高齢化社会の入り口にさしかかって、労働力のコストも徐々に上昇してきているし、若い世代の労働者の意識も変わりつつある。「安くて豊富な労働力」をもって経済の繁栄を支えるような時代はそろそろ終わりを告げようとしているのである。

 そして最後に、中国の急成長を牽引してきたもう一つの要素である不動産業の繁栄もすでに風前の灯であると趙教授は指摘する。今まで、あたかも「発狂」しているかのような不動産価格の暴騰に支えられて不動産業が急速な成長を遂げ、それが多くの関連産業の成長を牽引して経済の繁栄を支えてきた。しかし今、不動産価格の急騰がすでにその頂点に達し、バブルが崩壊するかしないのかの崖っぷちに立たされている。このような状況下では、成長要因としての不動産業の役割はすでに終わったのである。

 以上の3つの「激変」をもって、趙教授は今まで30年にわたる中国の経済成長が「かつてない大変局」にさしかかっていると指摘して、「中国経済は今後、30年以来の最大の試練を迎えることになるだろう」との不気味な予言を言い放ったのである。

※次回の更新は、7月28日(水)を予定しております。

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信社外信部記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
◆更新 : 毎週水曜

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