2024年12月18日(水)

WEDGE REPORT

2017年6月5日

テロの“新パターン”

 今回のテロを起こした実行犯は治安部隊に50発の銃撃を受け、射殺された。事件後、ロンドン東部で、事件に関与した容疑で11人が拘束された。英紙によると、実行犯の主犯格はパキスタン出身の27歳の移民。妻と子供2人暮らしで、イスラム過激思想の持ち主であることが分かっていた。4日になって過激派組織「イスラム国」(IS)が「ISの兵士集団が実行した」と犯行声明を出した。

 しかし、ISが直接的に指揮していた組織型のテロだったのか、それとも、ISの過激思想に感化されたホーム・グロウン(母国育ち)の一匹オオカミ型テロだったのかなど、動機や背後関係は解明されていない。

 8日に総選挙を控えるメイ英首相はイスラム過激主義を「邪悪な思想」と断じ、英国が過激主義にあまりに寛容だったとして、テロ対策の見直しを大胆に進めることを強調した。テロの刑罰を重くする法改正のほか、若者らが過激主義にネットで影響を受けないようにするため、フェースブックなどとの協力を強化していく考えだ。

同首相によると、英治安当局はここ数年で18件のテロを未然に防ぎ、とくに3月22日の国会議事堂の車暴走テロ以降、5件のテロを阻止したという。注目されたのは、「テロに新しいパターンがある」という首相の指摘だ。

 今回のロンドン橋のテロは最初、3人は車で暴走して歩行者をはね飛ばし、その後、近くの「バラマーケット」で長いナイフを使って無差別に殺傷した。このやり方は3月の車暴走テロと酷似している。この時も犯人は議事堂近くの橋の歩道で観光客らをはね、その後、警官を刺殺している。

 ISの「日常的に入手できる武器を使え」という呼び掛けに応じ、昨年のニースで86人が死亡したトラック暴走、同12月のベルリン・クリスマス市の車突入テロ、ストックホルムの車暴走、と車を使ったテロが続いてきた。テロの“新パターン”は今後も続くと考えた方が良い。

 私たちが欧州に出掛ける時、特にソフトターゲットになる観光地などでは、パリのシャンゼリゼのように歩道と車道に障害物のある道をまずは選んで歩いた方がいいかもしれない。

  
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