2024年7月15日(月)

Wedge REPORT

2010年8月3日

わが国近海などにおいて活発化する中国海軍の活動
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中国政府の無責任な行動を見過ごすな

 一方、過去数カ月間、国際社会は中国に対し、貿易や支援を中国に依存する不埒な国家による無謀な行動を阻止し、核拡散を抑制するために、その影響力を駆使して事態に介入するよう要請してきた。しかし、中国政府は要請に応えず、目先の国益ばかりを重視する近視眼的な対応を取ってきた。イラン政府を説得し、核兵器の追求をやめさせるための強力な制裁体制は一向に実現に近づいていない。また、言語道断なことに、北朝鮮が韓国海軍の哨戒艦を魚雷で攻撃し、46人の乗組員の命を奪った挑発行為の後でさえ、金正日総書記が中国政府から与えられたのは、支持を確約する言葉だけだった。

 米国と同じように、日本は建設的な対中関係を望んでおり、また、それを必要としている。だが、我々が弱さを見せたり、自分たちの価値観を放棄したりすれば、中国との意味ある協調は実現しない。

 中国政府の無責任な行動をただ見過ごすことは、中国から感謝の念を引き出すものでなければ、相互の善意のゼスチャーに発展するものでもない。反対に、中国の指導者たちはささやかな抵抗に遭うまで、どんどん勝手な振る舞いを続けるだけだ。

 私はここで、いわゆる中国の「台頭」について、不要に不安をかき立てるつもりはない。明らかに、中国は今も、都市部と農村部の貧富の格差や労働争議、環境劣化、民族紛争といった大きな内政問題に苦しめられている国だ。

 チベットと新疆では、中国の政策は失敗しており、どちらの場合も、中国政府の対応は暴力とさらなる抑圧に訴えるという見識を欠くものだった。いずれも、揺るぎない自信を持った指導部の取る行動ではない。

今こそ求められる
日米両国の固い決意

 しかし、私はここではっきりと、日本および日米双方のアライアンス・マネジャーたち(同盟を保守発展させる役目の人々)に目を覚ますよう呼びかけるつもりである。中国が近隣諸国で力を誇示する一方、国内で注意を要する指導部の世代交代に向けた準備を進めている今、我々は重大な局面を迎えている。日米両国は同盟国として、再びしっかり地歩を築き、固い決意をもって安全保障環境の変化に対応していく必要がある。普天間合意は、正しい方向へ向かうために必要な1つのステップだが、初めの一歩に過ぎない。

 今世紀の戦略的な課題に立ち向かうべく、力を備えた同盟を築いていくうえで、難作業が始まるのはこれからだ。時代は次々、複雑さを増していく。その中にあって、善き力として圧倒的な存在となること。それこそが、日米双方の目標であり、それ以下であってはならない。私は、日米両国が最初にやるべきことは相互の信頼を再び築くことだと考えている。日米間の信頼は損なわれた。この事実は認めなければならない。

 次に日米両国は、米軍と自衛隊の義務と責任に関して、互いの役割と任務のアプローチを見直す必要がある。アジア太平洋地域で我々が直面するだろう課題は進化しており、我々はそれに合わせて進化しなければならない。どんな新しいアプローチを採用しようとしても、それが過去の状況に合わせるためのものならうまくいくわけがない。


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