2024年11月22日(金)

ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2017年7月19日

叱った後の鉄則

 ただし叱った後には必ずフォローが必要です。

 「褒める」ことです。

 「いい出来じゃない!」「さすがだね!」「やっぱり力あるよね」と、今取り組んだことに対して素直に褒めます。

 信頼していること、あなたは出来る人だと信じていることを伝えます。

 フォローのポイントは、どんな言葉を伝えるのかではなく、笑顔で伝えるということ。

 信頼関係をベースにしているのですから、大事なのは気持ちです。

 逆に絶対にやってはいけないのは、「それみたことか」と説教を追加することです。

「だから言ったでしょ、やればできるんだから最初からやりなさいよ」と、クドクドクドクド…
「叱られないとできないようじゃダメだぞ」と、批評家コメント。

 どちらも絶対にNGです。

 やったのに叱られるというのは、自分は認められていないんだという気持ちを掻き立てられることですから、叱ることの大前提である「信頼関係」を壊してしまいます。

信頼⇒叱る⇒信頼の強化

 信頼しているからこそ叱る。でも叱ったままでは、相手の心を不安にさせたり、自信を失わせたりするかもしれない。

 そもそも、叱るとは、改善を促すこと。同じ失敗を繰り返させないよう動機づけること。自分では気づかない、気づいていても行動に移せない、頭では分かっているけれど行動したくない、そういった停滞する状態を打開させる働きかけのこと。

 だから、叱った後に褒める。行動したことを褒める。改善しようとした心の動きを褒める。信じている、必ずできると笑顔で信頼を伝える。

信頼 ⇒ 叱る ⇒信頼の強化
褒める ⇒ 叱る ⇒褒める

 このサイクルを意識することで、「叱る」ことへの不安感は和らいでいくと思います。

小さな子どもの叱り方

 相手のタイプによって叱り方を選択することも大切です。特に、まだ小さい子どもや、自信を失いかけている部下を叱る時には、言葉にも雰囲気にも気を配りたいですね。

 まずは自分の気持ちを落ち着けること。今から何を目的に話すのかを自分自身で整理します。

 子どもが良くないことをしたのであれば、叱る目的は、同じことはもうくり返さないと子ども自身が思えるようにすることです。それには、なぜ良くないことなのか理由を説明しながら、今後はどうすべきかを教える伝え方になるでしょう。

 大けがをするかもしれないから、動いている機械の方に手を伸ばしてはダメなの。あなたが大けがしたらママは悲しくて耐えられないから、絶対にやめてちょうだい!

 何のために、誰のために指摘しているのかが子どもにとって納得できるものであれば、胸にきちんと届きます。

自信を失わせない叱り方

 部下に改善させたい点がある時は、まず褒めるポイントを探して、それを先に伝えます。そしてできるだけ肯定的な言葉を選んで改善点を指摘してあげるのが良いでしょう。

 仕事でミスが続いて自信をなくしかけている部下が、がんばってレポートを仕上げてきたとします。

 「これがレポートと言われても、要素が不完全で使えないでしょ。もう一回書き直し!」

 こんな叱り方はどうでしょう? 改善するよりも、仕事への意欲と自信をなくさせるだけになりそうですね。

 意欲にあふれていて、「もっと自分の力を伸ばしたいです。鍛えてください」という部下なら、この言い方で正解です。どこがいけないのか自分で考えさせることも大切ですし、中途半端なクオリティで妥協を覚えさせるのも良くありません。

 何より、意欲的な人にとっては、突き返されること=自分はもっとできると信じてもらえている、という受け止めができるので、厳しく求めてくれる上司のことを一層信頼するでしょう。

 しかし今は、ミスが続いて自信をなくしかけている部下です。

 状況をふまえた伝え方をしなければなりせん。

 例えば、こんな伝え方になるでしょう。

早く仕上げるよう意識してがんばったようだね。その姿勢は大事なことだからこれからも続けてもらいたいな。・・・(A)
それで内容だけれど、重要な要素は押さえられています。
ただ、前後のつながりが少し分かりにくいな。・・・(B)
前半の説明をもう少し整えて、後半はどこが一番のポイントなのかがはっきり分かるように工夫してみると良さそうだね。・・・(C)
がんばって。

 といった具合です。

 まず褒めるポイントを探してきちんと伝え(A)、それから問題点を示し(B)、肯定的な言葉で改善を促す(C)、という順で話せています。

何のために叱るのか

 成果を否定するのではなく、さらに良くなるためのアドバイスを伝えようとする。取り組む力があるのだから、やればきっといい結果が生まれるという期待、信頼を渡す関わり方です。

 何のために叱るのか。

 誰のために叱るのか。

 その人の可能性を信頼できるほどに、自分はその人に心を向けられているのか。

 そう考えると、だれかれなしに叱るなんてことはとても難しいですね。

 その人が、自分にとって大事な存在だから叱ることができる。

 ですから街中で、見知らぬ子どもであってもきちんと叱ることのできる人は、子どもたちへの愛が本当に深い人なのだと私は思います。

 せめて自分の子どもには、自分の部下には、叱れる自分でありたいですね。

 さて次回は、「考える力の伸ばし方」についてお話しする予定です。お楽しみに。

  
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