WEDGE REPORT

2017年7月24日

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穏健派が過激派に

 「IS以後」のトランプ政権のシリア政策はまだ固まってはいないが、この停戦により、目指すところは見え始めている。停戦後、トランプ氏はロシアとの間で別の停戦を協議中であると述べ、「このように順次停戦を積み上げていけば、シリアから銃声が途絶えることになる」と指摘、各地で部分停戦を実施して全土の停戦につなげたい、との戦略を明らかにした。

 しかし、シリアでISを壊滅し、内戦の停戦を成立させた後、トランプ政権がシリアから全面的に手を引くことには、戦略上の観点から国防総省などが猛反対するだろう。ロシアとイランの影響力があまりに強くなることはロシアとの協調路線を鮮明にしているトランプ氏にとっても好ましいことではない。

 こうしたことからもトランプ政権には、長期のシリア・中東戦略を早急に策定することが求められるが、今回の支援終了のリスクの1つは、「米国に裏切られ、見捨てられた」(反政府組織指導者)との思いを強める反政府勢力の戦闘員らがアルカイダ系の過激派、旧ヌスラ戦線などに合流する懸念があることだ。

 シリアでは、ラッカ解放後も、ISの戦闘員がユーフラテス川渓谷を中心にゲリラ活動を続行する可能性が高い上、反政府勢力が過激派に加わるようなことになれば、今度は米国に対して牙を向く。トランプ氏が描くようなシリア停戦の実現は困難になるかもしれない。
 

  
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