ある成年後見人の手記

2017年8月14日

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松尾康憲 (まつお・やすのり)

ジャーナリスト

1953年生まれ。76年共同通信社入社。87年から2004年まで北京特派員、上海支局長、ハノイ支局長を歴任。現在は放送報道局委員。著書に『現代ベトナム入門 ドイモイが国を変えた』(日中出版)、共訳書に『中国の禁書』(新潮選書)、『性愛の中国史』(徳間書店) 

(iStock.com/ayaka_photo)

 14年10月29日朝、ハーネスト唐崎から電話があり、伯母、松尾由利子がこの日午前8時25分に老衰のため死去したと告げられた。神戸家裁の方針転換で、私が成年後見人として由利子が遺した資産を用いて葬儀を営むことは認められるに至ったが、私はもう一つ覚悟を迫られていた。それは成年後見制度が、安上がりの葬儀を求めているためで、もし贅沢な葬儀と見なされたら自己負担せねばならないかもしれない。腹は括った。

 後見人にも被後見人に対しても人間的な配慮を欠いた現行制度を見直し、高齢者を看取り、最終的には葬祭を温かい心で執り行えるための制度を構築しなければ、加速度的に進む高齢化社会は立ちゆかなくなるだろう。(つづく)

【編集部注】「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が16年10月13日から施行され、後見人が死亡した被後見人の火葬や埋葬をできるようになった。しかし、後見人に葬儀を施行する権限までは与えられておらず、後見事務としても認められていない。葬儀はあくまで、費用負担も含め後見人の「善意」に委ねられたままである。
(つづく・『伯母を見捨てた血族への相続、何でワシが【ある成年後見人の手記(7)】』)
葬式代が後見人の自腹はおかしい【ある後見人の手記(5)】

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