スマホ決済が世界で最も普及している中国。市場を二分しているのはテンセント(騰訊)のウィーチャットペイ(微信支付)とアリババ(阿里巴巴)のアリペイ(支付宝)で、この2社だけで90%以上のシェアを占めている。連載第10回はウィーチャットペイの日本の包括代理店の代表的存在であるネットスターズの李剛社長に、ウィーチャットペイの日本市場への導入などについて聞いた。
――人口13億7000万人の中国で、8億人以上の人が使っているといわれるチャットアプリがウィーチャット(微信)ですね。
李氏:はい。ウィーチャットは中国のテンセントが開発した中国を代表するSNSです。日本では中国版LINEと訳されることが多いですが、友だちに簡単にメッセージを送信したり、グループチャットを作ったり、情報を友人と共有できるモーメンツという仕組みがあり、無料電話も利用できるという非常に便利な機能です。ウェイボー(微博=中国版ツイッター)のように実名登録の必要がなく、閲覧できる相手を制限できるので、親しい仲間や友人と交流できるコミュニケーション・ツールがあります。もちろん、ビジネスに使用している人も多く、名刺交換する代わりにウィーチャットを登録し合うということも中国では日常茶飯事になっています。
――ウィーチャットペイもその流れで誕生した決済機能サービスですね?
李氏:2014年にウィーチャットを使って交流した相手に送金できる決済機能、ウィーチャットペイができました。個人間の送金には手数料がかからないこと、現金を持ち歩く必要がないことなどもあって、中国全土に爆発的に普及しました。この1~2年の間に、飲食店、百貨店、屋台、ホテル、鉄道、航空、病院、公共料金の支払い、出前や年金の受け取りまで、何でもウィーチャットペイでお金を支払ったり、受け取ったりできるようになりました。中国の大都市だけでなく内陸部でもウィーチャットペイは普及しており、キャッシュレス化が急速に進んでいます。
――御社はそのウィーチャットペイの日本包括代理店という位置づけですか?
李氏:はい。弊社は2009年に設立しモバイル決済サービス、インバウンドに関するトータルサービスなどを行っていますが、2015年8月からウィーチャットペイの日本包括代理店のひとつとなりました。テンセント社の日本展開のサポートを中心に、モバイルQQ日本版の展開や、日本初のウィーチャットでの越境ECサービス、企業のウィーチャットの公式アカウント作成なども行っています。ウィーチャットペイは2015年10月から日本国内でサービスを開始しました。2017年7月時点での導入数は約2000社(1万拠点)を超えています。
――日本の商業施設などでもウィーチャットペイが使えるところが増えているのですね?
李氏:そうです。導入している加盟店は飲食店、ドラッグストア・コスメショップ、免税店、土産店などさまざまな小売店、商業施設です。代表的な導入実績としては、羽田空港(国際線・国内線)、成田空港、新千歳空港、大丸松坂屋百貨店、そごう西武百貨店、東急プラザ、マロニエゲート銀座、キャナルシティ博多、日本交通タクシー、ロフト、ラオックスなどで、今後も続々とウィーチャットペイが使用できるところが増えていく予定です。