2022年11月30日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年11月30日

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 1978年には200,000人のロヒンギャがバングラデシュに逃れました。この時は国際的な圧力でミャンマーの軍はその殆どの帰還を認めました。1991-92年には軍は250,000人程度を追い出しました。バングラデシュがその一部はミャンマーに追い返し、残りについてはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の管理の下でその大部分の帰還をミャンマーの軍も認めることとなりました。

 今回もバングラデシュに避難したロヒンギャの大部分が帰還することで解決に至るかというと、どうも疑わしいです。国連が「民族浄化の教科書的事例」と呼ぶ状況では、恐怖でロヒンギャは戻りたがらないと思います。民族浄化の結果を容認することは問題ですが、無理に帰還を強いることにも人権の観点で問題があります。現在も流入は続いているらしく、国連では残っている500,000人も遠からずその大部分がバングラデシュに逃避すると見ているようです。従って、この論説がいうようにロヒンギャが長期にわたってバングラデシュにとどまるという前提でロヒンギャの生活環境の改善のための対策を講じる必要があります。それには、UNHCRに難民キャンプの管理・運営を委ねるしかないのではないでしょうか。バングラデシュを含め、再定住を受け入れる国が近隣に見当たらない状況では、その先の見通しは立ち難いですが仕方がありません。

 この論説もそうですが、国際社会の忍耐が限界に近付きつつあり、制裁論議が浮上する可能性があります。ワシントン・ポスト紙は、トランプ大統領は前任者がやったことを覆すことを喜びとするようであるからこの際オバマ大統領が解除した対ミャンマー制裁を復活させてはどうか、と10月29日付の社説で書いています。制裁は、ミャンマーを中国の懐に追い遣るだけで、西側の利益になりません。ロヒンギャの人権状況の改善がこの際は急務です。

  
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