2022年8月12日(金)

したたか者の流儀

2017年11月28日

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ニューヨーク訛りで英語話す韓国青年

 名誉退職という名のリストラが起きるなど厳しい経済状況と平行して、通貨が対ドルで半分以下に下落していた。日本でいえば数週間でのうちに1ドルが250円となることを想像してほしい。もっとも、このお陰で後に輸出が拡大し危機は収束に向かったともいえるのだが。

 そんな最中に、在米韓国人の子女で米国教育をうけた青年たち数万人が父母の祖国を目指した。身近にも多数いたが、彼らが危機のさなか韓国に「アメリカ」を持ち込んだのだろう。何の臆面もなくニューヨーク訛りで英語を話す韓国青年は、輝いて見えた。金融、法務、会計、コンサルなどの分野が彼らの活躍場所となった。強いドル建ての給与が保証された青年を相手にしたカフェやレストランができはじめ、おしゃれ系のインフラが完成した。そんな彼らが祖国に持ち込んだものは多い。

 とはいえ銀行の「取り付け騒ぎ」も預金者が特段不安を感じなければ、発生しない場合の方が多い。韓国通貨危機もそっとしておけば、どうにかなった可能性もある。IMFが精査して不安を言えば、通貨は下落し、外貨調達金利も跳ね上がる。そしてIMFは、ほら見たことかと救済を宣言することになる。韓国は実際そうなった。

 その点は不幸であったかもしれないが、お陰でグローバルスタンダードを身につけた多くの韓国系青年が自薦他薦でソウルに到着したのだ。彼らの基本はアメリカンなので、弁護士をよく使い、正当なフィーを払い、コンサルタントを利用し高いコンサル料を惜しまない習慣を韓国に持ち込んだ。

 その成果なのだろうか、現在、韓国の格付けはS&P、Moody’s共に、我が日本よりランクが上になっている。危機のお陰で、韓国はリストラが進み行動がグローバル化したとも言える。逆に、過去の成功にしがみつきながら、徐々に地盤沈下しているのが日本か。

 ところで、当時のIMF専務理事ミッシェル・カムデウシュ氏は、「韓国は僕のこと怒っているのだろうか」と言っていたそうだ。韓国は名誉を傷つけられたのは事実だろう。たとえそのお陰で成功しても。

  

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