2024年11月22日(金)

家電口論

2018年2月23日

開発者の熱い思いを引き継いだ

 なぜこのような「葬儀システムの静かなる革命」と言ってよいような、メモリアルベッドを「ドウシシャ」がビジネスにしているのか? ドウシシャは、この名前で登録されているが、由来は漢字で「同志社」。同じ「こころざし」を持つ者の会社が名の由来だ。

 これはドウシシャの現会長が勤務していた前の会社が放漫経営により倒産したことから発する。会社が潰れると、従業員だけでなく、販売先、仕入れ先などの多くのステークホルダーを不幸にする。そんな不幸な体験を二度と起こさせない、そのためにもロマンを感じられる会社を作ろうと、現会長が当時の部下(同士)達へ呼びかけを行い、同じ志の下に集まったメンバーで創業した会社だそうだ。

 ドウシシャの本業は「流通サービス業」。自社で企画、開発、販売する「プライベートブランド」と、「ナショナルブランド」商品の仕入、販売、小売支援サービス業がある。それも幅が広い。取材時、メモリアルベッドの近くには、4Kテレビ、そして今売れ筋のヌイグルミが山と積まれていた。

 この「メモリアベッド」は、ある人が、葬儀において「ドライアイスを削減させたい」と強い思いから作ったという。ただ自分ではビジネスの拡大路線に転換することに限界があると考えたらしく、知名度のあるドウシシャと事業構築に取り組むことになったそうだ。事業拡大(営業、生産)ベンチャー企業の泣き所の一つ。しかし、志を大切にするドウシシャに、「強い思いを継いでもらう」ことになったのは、何かの縁かもしれない。

新しいビジネスは、やはり「気づき」から

 指摘されると、何でもないと言われそうなメモリアルベッド。これを、ドウシシャのような葬儀業界ではない会社が扱っているのは面白い。今、自動車のEV化を始め、いろいろな考え、製品が「新標準」に切り替わりつつある。しかし取材するまで、葬式の新しいスタンダードのポテンシャルを持った商品が、業界以外から持ち込まれているとは思いもよらなかった。ある意味、EVの標準スタイルを提案したのは「トヨタ」「ベンツ」「フォード」ではなく「テスラ」だったことに似ている感じだ。

 メモリアルベッド。これがスタンダードになると、棺の底には4つの穴があいていることになる。それだけのポテンシャルを十分に持っている様に思われる製品だ。

  
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