オモロイ社長、オモロイ会社

2018年3月7日

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杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ)

代表世話人株式会社代表

三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に20数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。

会社説明会参加者数が採用の成否を決める

 実際今年入社が19名となった経緯を数字で振り返ります。会社説明会参加者408名、そこから選考希望者が320名、一次選考通過が77%の247名、二次選考通過が92名、三次選考通過が42名、内定通知を出したのが22名、内定承諾が21名、入社が19名ということに。大きなポイントに、会社説明会は同社単独開催であり合同説明会には一度も参加しないということ。同社一番大きな目標に掲げているのは、「会社説明会参加者」。

 この参加人数が最大の注目点だそうで、この人数に対する、一定の傾向値が決まっており、内定の人数の計画を策定する際は、まずこの説明会参加者を確保するために会社を挙げて取り組んでいるそうです。この採用の活動の総責任者は中西社長であり、全ての会社説明会(2017年度は19回)に登壇し、学生に語りかけるそうです。

 他の会社と自社との採用スタンスの違いについてお聞きしました。

 「どの会社さんも、学生に対して伝えているのが、営業系であれば『売り上げた人』→『会社に収益をもたらす』→『会社から当人にインセンティブがある』。内容に違いがありますがこの循環について話しているだけ。採用できない理由がありきたりとなるのもわかる気がします。 いわば競争社会についての解説をしている感じ。当社ではその全く真逆の話し、『家族経営』→『家族だからクビはない』→『協力しあう、助け合う』。この循環であること。協力する会社、社会を共に創りましょう。と話しています」

 その結果、2015年5名、2016年7名、2017年13名、今年19名と順調に採用が推移しています。この5年での退職者は5名、営業系の会社では低い数字に感じます。

 さらに「大人世代が疲弊している中で育つ新卒世代には、 昨今のSNS、インスタグラムの発信全盛の風潮を見ていると、この世代が心を動かせている現状がある、そこでのキーワードは『繋がり』、『受容』、『共感』。このようなことを大事にしているからこそ、インセンティブ偏重でなく、助け合い・家族、社員満足(ES)を訴えるからこそ上場企業の内定を蹴ってでも入社してくれる素質ある学生が入社してもらえていると感じます」と中西社長は話します。

 これだけ採用に時間と労力を掛けている同社ですが、採用コストについてもお聞きしました。「1人の新卒を採用するコストはだいたい30万円程度、そこを目安にしています。金銭的コストより、見えないコストである説明会開催の工夫、選考フロー、面接質問内容の精査、経営理念を徹底的に話すこと、何を伝えるか? を考えながら、仕事の厳しさも話し、やさしさ、思いやり、困っている人を助けられるか? 自分の数字だけ評価されることに興味がある人は他の会社に行って欲しいとストレートに伝えています。いかに価値観を共有できる人に面接に臨んでもらえるか、そこにフォーカスしています」と、ここまで採用を自らのミッションとして動く経営者も少ないのではと感じます。

徹底的な家族経営

 採用時期だけ家族経営を標榜して終わるのでなく、徹底的に社員と議論し、家族経営に取り組んでいる現状についてもお話を伺いました。

 「当社の家族的経営を実践していく中で、『家族だからこその福利厚生』を大事にしています。それを社員に分かりやすく見える化しているのが、『ブロードエンタープライズの家族的経営・Thirtyone System』と『ブロードエンタープライズの行動指針・スマイルブック』の存在です、家族経営についての社内制度をThirtyone Systemとスマイルブックを活用することで社員全員に浸透できるようになりました」と中西社長は話します。

Thirtyone Systemについて

 31項目の福利厚生制度を掲げており、「いのちだいじに編」、「しっかりやすめ編」、「みんななかよく編」、「みんながんばれ編」、「おかねはたいせつ編」と5つに分類されています。この内容についても少し触れたいと思います。

 「いのちだいじに編」→ 社員の医療費の個人負担分を会社が一部負担するもの、社員のみならず配偶者やそのお子さん、飼っているペットも家族とみなして。また予防接種の費用負担や健康診断の法定健康診断以上の健診に掛かる費用を負担、防災グッズを4年に1度支給する制度も。

 「しっかりやすめ編」→ 休暇制度には4項目、アニバーサリー休暇、チャリティー有給休暇制度、マネージャー休暇、ゆとり休暇を設けています。チャリティー休暇は、社員がチャリティーに参加する等の休暇ではなく、社員が有給休暇を取得すると、会社がユニセフ等の慈善団体に募金するという制度。有給休暇を取れば世の中の役に立つという制度だそうです。

 「みんななかよく編」→ 社員全員が仲良くできるように、「ワッショイ」という恒例行事があるそうです、これは、毎朝の朝礼の最後に、社員の誕生日やお祝い事をハイタッチで祝福するそうで、この実践で全員が気分良く始業に就けているそうです。また「サンキューセレクト」こちらも朝礼時に2名の社員がメッセージカードを作成し「ありがとう」をサプライズで直接他の社員へ伝え、身近な社員同士でも感謝の気持ちを忘れず、言葉で表現する習慣化を行っています。さらに中西社長は社員及びその家族の皆さんに記念日にお祝いメッセージを自筆で書いているそうです。

「ワッショイ」の様子

 「みんながんばれ編」→ 社員のスキルアップの資格取得に関しての奨励制度や、業務改善や新規事業の案を社長に直接提案できる制度。こちらは社内掲示板をシステム化し運用しています。その他資格取得お祝い金、社内図書館、社員表彰制度のアワードも開催、社員投票で決定しているそうです。

 「おかねはたいせつ編」→ 給与体系で大事にしているのが、人生設計が出来るように定期昇給制度を1番に掲げ、手当関係も手厚く支給し、退職金制度、スマートフォン・タブレット端末無償貸与の制度も設けています。

 社員数100名以下でここまでの福利厚生はなかなかできることではないように感じます。中西社長も収益性を重視するとここまでの対応にはかなりの決断が必要だったと話します。しかし、家族経営を目指す上で、大量の社員の離脱という痛みを伴ないながら、自身の想いだけでなく、理念浸透に共感して社員の皆さんが実際に家族経営に取り組んでいるからこそこの経営が成り立っていると感じました。この理念浸透に基本となっているのがスマイルブック、この活用を、朝礼〜研修まで日々の仕事に練り込まれるように落とし込んでいます。その結果価値観を共有し家族のような会社組織になっています。

 カタチだけの社員満足ではなく、社員総和で実践しESある経営から、顧客満足のCSへ、その上での社会貢献を実践し本気で取り組む同社に今後も期待したいと思います。

  
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